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日本国内におけるキャッシュレスの遅れは今に知られたことではありませんが、少子高齢化に伴う労働人口の確保と生産性向上を課題とする日本にとって、キャッシュレス化は避けては通れない道となっています。総合研究所が公表している「キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識」によると、2019年における日本のキャッシュレス決済比率は26.8%であり、上昇傾向にあるものの欧米諸国と比べて依然として低い水準であることが分かります。

インバウンド対応の観点からも、キャッシュレス決済システムの整備が必要とされています。 2019年の観光庁による「在日外国人が日本滞在中に困ったこと」の調査でも「クレジット・デビットカードの利用」、「両替」もしくは「その他決済手段(モバイル決済など)」という回答が計22%に上っており、事業者側は来日外国人旅行者への購買欲促進の観点からも幅広い決済手段に対応することが2019年の段階で求められていました。

その一方、先日公開した「【エンジニアの転職】急成長するフィンテック分野で特に需要の高い5つのITポジションをご紹介」でもご紹介したように、2021年以降QRコード決済を中心に本格的に電子決済サービスの導入が進みつつあります。今回は、日本におけるキャッシュレスの現状とこれからのサービス拡大への課題を、キャッシュレス先進国と比較しながら解説していきます。

以下の記事ではフィンテック業界全般に関する基礎知識をご紹介しています。是非ご覧ください。

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日本における電子決済

そもそも電子決済サービスとは?

電子決済サービスとは、現金の授受を行わずバーコードやICチップ等の電子データのやり取りによる決済方法のことを指します。電子決済は大きく分けてクレジット・デビットカード決済、ネットバンキング決済、電子マネー決済(Suica・PASMOなど)、QRコード決済(PayPayLINE Payなど)、モバイル決済などに分けられます。中でもQRコード決済は近年利用が進んでおり、今後の成長が期待できる分野として注目されています。

日本の電子決済手段における内訳としては、キャッシュレス先進国と比べてクレジットカードの占める割合が非常に高く、デビットカードやモバイル決済の普及率が低いといった傾向が挙げられます。

 

実は日本におけるクレジット・デビットカード所持率は非常に高い

日本では19世紀後半という早い段階でクレジットカードが導入され、瞬く間に普及が進みました。日本クレジットカード協会が2018年に行った調査によると、日本における一人当たりクレジットカード発行枚数や保有率は中国に次いで2番目となっています。

その一方で、クレジットカードの保有率と利用の頻度は必ずしも比例しておらず、実際のクレジットカード決済の普及率は他のキャッシュレス先進国と比べると未だに低い傾向にあります。この理由の一つとして、日本の金融システムが銀行主体であったことが挙げられます。公共料金や通信料金などの支払いは自動引き落としが主流であり、これにより金融機関からの自動引き落としによる一回払いというものが定着したのです。言い換えれば、日本ではクレジットカードがデビットカードのような感覚で使われるようになりました。

これに伴いデビットカードの普及に遅れが生じました。デビットカードをわざわざ選択する必要があまりなかったのです。加えて、そもそも銀行キャッシュカードにデビットカード機能が付いている認識が消費者に浸透していないことなども発展を妨げる背景として考えられるでしょう。

電子マネー・スマートフォン決済の利用者が急増

日本における電子決済のうち電子マネーに関しては利用が大幅に拡大しており、世界最大の利用額を記録しています。これはソニーの開発した非接触ICカード技術「Felia」が大きな要因として挙げられます。2001年からSuicaやPASMOなどのIC乗車券が各地の交通機関で利用され始めたのち、2002年からは電子マネー「Edy」の決済システム導入が大手コンビニなどで進められました。これに伴い、非接触ICカード決済に対応した店舗数が増加したのです。

日本での利用率が急激に高まっている電子決済には、PayPayLINE Pay楽天ペイなどを利用したQRコード決済をはじめとするスマートフォン決済も挙げられます。これはスマートフォン決済各社のキャンペーンや経済産業省の推進施策が大きく関わっています。地域経済の活性化や中小・小規模事業者の生産性の向上を狙った、政府や自治体のQRコード決済活用の促進事業も普及の追い風となっています。


キャッシュレス決済普及への日本の課題

ここまで解説してきたように、日本でのキャッシュレス決済は近年成長を遂げているとは言え、中国やスウェーデンをはじめとするキャッシュレス先進国と比べるとまだまだという印象を受けます。この背景には大きく分けて、

  • 事業者側にかかるコスト
  • 決済手段が乱立していること
  • 消費者の心理的な問題

が挙げられます。

 

事業者側から見たキャッシュレス化への壁

事業者側の大きな壁となっているのは、導入のためのコストや運用・維持にかかる手間、そしてメンテナンス料です。売上から決済事業者による入金にタイムラグがあるためその間の資金繰りに苦労する事業者も多く、キャッシュレス決済導入へのハードルを上げています。

また、日本ではキャッシュレス決済手段が乱立しており、キャッシュレス決済提供事業者も非常に多いという特徴があります。これは事業者に消費者のニーズに合わせ幅広い決済手段を導入する必要があるということを意味し、対応するリソースの確保がままならない中小の事業者のキャッシュレス決済導入を困難にしています。

 

消費者側から見たキャッシュレス化への壁

消費者側としても、キャッシュレス決済に対し便利なものという認識よりも不安に思う傾向が日本ではまだまだ見られます。この現金主義的な国民性は特に高齢者に顕著で、彼らのITリテラシーを上げる必要が指摘されています。また、クレジットカードを持っているのに使用しないことを意識的に選択する「クレジットカードと現金を使い分ける派」の消費者が日本には多く、安全・安心・簡単・便利という観点で現金決済を上回る付加価値を提供することが求められています。

 

今後の電子決済の進展

これらの課題を踏まえ、今後日本での電子決済の市場はどう変化していくのでしょうか?まず、前提として消費者の電子決済に対するニーズは右肩上がりで伸びています。2020年の日本クレジットカード協会の調査によると、キャッシュレス決済に対応していない店舗の利用を明確に避けるもしくは避けることがあると回答した人は、全体の4割以上となりました。

日本政府の「キャッシュレス・消費者還元事業」などのサポートもあり、キャッシュレス決済の利用は予想を上回るペースで拡大を続けています。課題の一つであった事業者側が負担しなければならないコストや手間に関しては、政府・自治体・決済事業者が様々な施策を講じ、補助金や割安の決済手数料の提供などを進めています。SquarePayPayは安い導入費用や決済手数料で有名です。

乱立するQRコード決済についても、「JPQR」という統一されたQRコードの利用が始まり、標準化と手数料の低廉化が進んでいます。デジタルガレージでは「Cloud Pay(クラウドペイ)」により複数の決済(Line pay・WeChat Pay・d払いAlipayなど)を一つのバーコードにまとめることが可能となりました。

こうした取り組みの中で電子決済は今後も普及が拡大していくことが見込まれており、2025年には国内の電子決済化率は37.9%まで上ると予想されています。

 

日本の電子決済|まとめ

記事内で解説してきたようにまだまだ多くの課題がある日本のキャッシュレス決済事情ですが、それらを乗り越えて発展を遂げるために今後フィンテックの電子決済分野ではより多くの仕事が生まれることが見込まれています。
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