以前、「フィンテックで今後期待される注目サービスとは?【2022年・2023年】」の記事でもご紹介したように、2023年以降更なる進化が期待されるブロックチェーン技術。ブロックチェーン技術の透明性、安全性、効率性は、金融資産という極めて重要性の高いものを扱うフィンテック業界にとって非常に魅力的であり、技術の更なる活用と共に、ブロックチェーン分野の経験やスキルを持つエンジニアや開発者の需要が拡大することも予想されます。
今回は、ブロックチェーンエンジニアの仕事内容や、初心者が独学でブロックチェーンエンジニアになるために必要なスキルとその勉強法について詳しく解説します。
ブロックチェーン・ブロックチェーンエンジニアとは?
そもそもブロックチェーンとは何なのか、実はあまり理解していないという方も多いのではないでしょうか?ブロックチェーンとは、ビットコインの根幹を作る際に開発された技術で、取引履歴(ブロック)を一つの鎖のように暗号技術で繋げたものを表します。ブロックチェーンには以下の三つの種類があります。
ブロックチェーンの種類
- パブリックチェーン-誰でもネットワークに参加できる
- プライベートチェーン-単独の管理者が存在する
- コンソーシアムチェーン-複数の管理者が存在する
ブロックチェーンエンジニアの仕事内容
以上のようなブロックチェーンの実装(ほとんどの場合ビットコインやイーサリアムで使用されるパブリックチェーン)や、もしくはブロックチェーンを活用した開発をするエンジニアのことをブロックチェーンエンジニアと呼び、近年注目される職種の一つとなっています。
ブロックチェーンエンジニアの主な仕事内容としては、
- 決済サービスの開発
- ブロックチェーンを用いたアプリケーションの開発
- 独自ブロックチェーンの開発
- ブロックチェーン技術に関する研究開発
が挙げられ、非常に幅広いものとなっています。ブロックチェーンエンジニアの中にも分野があり、分野次第で業務内容も異なりますが、基本的にはブロックチェーンを使いこなせることが共通点となります。
ブロックチェーンエンジニアに必要なスキル・開発言語と独学方法は?
ここからは、ブロックチェーンエンジニアになるために必要なスキルや、ブロックチェーン開発に必要なプログラミング言語について解説します。
① ブロックチェーンに関する知識・スキル
まずは、当然ながらブロックチェーンエンジニアとして働くからにはブロックチェーンに関する知識、そして実際に実装できるスキルが必要となります。独学の場合、書籍や教材などで学習するとともに、実際に問題を解きながら実践的に習得することが大切です。
ブロックチェーンの構造や技術のメリット・デメリットをよく理解すると同時に、ブロックチェーン自体の開発を目指す場合には更に深く専門的な知識を身につけましょう。基礎的な技術要素を身に着けるためにおすすめの書籍として、A・アントノプロス著の「Mastering Bitcoin(原題)」(邦題:ビットコインとブロックチェーン)や、加嵜長門著の「ブロックチェーンアプリケーション開発の教科書」などがよく取り上げられます。
② 暗号に関する知識
ブロックチェーン技術には複数の暗号技術が使われており、それら全ての技術が関係しあうことで、高い暗号性とデータの機密性を保持しています。例えば、ブロックチェーンが採用している基本的な暗号技術である「公開鍵暗号方式」や、取引履歴の記録で重要な役割を持つ「ハッシュ関数」、電子書籍に関する分野などは、よく理解しておく必要があります。ブロックチェーンエンジニアに必要な暗号に関する知識をつけるためにも、上記で紹介した書籍等の活用がおすすめです。
③ ソフト開発・プログラミングのスキル
アプリケーションやソフトウェア開発、そしてブロックチェーンそのものの開発には、当然プログラミングのスキルも必要となります。
ブロックチェーンエンジニアに必要な言語は使用するソフトや目的により異なりますが、ここでは特に使用されるJavaScript、C言語、Solidity、Go言語について詳しく解説します。
【2022年最新版】おすすめのプログラミング言語8選|それぞれの特徴・選び方や転職に生かすコツを徹底解説
JavaScript
JavaScriptは、WebサイトやWebアプリケーションの開発に使用されるスクリプト言語で、ブロックチェーンを用いたWebアプリケーション開発にも必須の言語です。また、ブロックチェーンを利用した仮想通貨取引所の中にも、JavaScriptのライブラリやAPIが適用されているものがあるため、仮想通貨取引のツールを開発するためにも必要な言語となります。
C言語
C言語は、ブロックチェーンを用いたアプリケーションの開発よりも、仮想通貨の取引サービスの運営に関わりたいという方にとって必要となる言語です。仮想通貨のシステムに携わる場合は、ビットコインに用いられているC++を学んでおく必要があり、場合によってはC#も必要となるため、可能であれば両方習得しておくと良いでしょう。
Solidity
イーサリアムを用いたアプリケーション、特にスマートコントラクト(ブロックチェーン上に契約を載せる技術)を開発する際に必要となる言語です。Solidityの文法はJavaScriptと似たものとなっているため、初心者でも独学により知識を身に着けやすい言語と言えます。オンライン上で学習できるコンテンツが充実しています(おすすめのオンライン学習教材については、記事の後半でご紹介しています)。
Go言語
Go言語とは、Googleが開発したプログラミング言語で、イーサリアムのクライアントソフトであるGo Ethereumを利用する際に必要となるため、仮想通貨を扱う業務でしばしば使用される言語です。文法はC言語やC++言語に似ていますが、C++言語よりもライブラリが充実しているため、比較的初心者でも扱いやすい言語と言えます。ブロックチェーンエンジニアとして、初めてブロックチェーンそのものを構築したいとお考えの方におすすめの言語です。
プログラミングに関する知識は、プログラミングスクールや、書籍、オンライン講座などを使用し独学で身に着けることが可能です。おすすめの独学方法については、以下の記事をご覧ください。
プログラミングを独学で学んでキャリアに生かす方法とは?
④基礎的な英語の読解能力
ブロックチェーンの技術は日本よりも海外の方が進んでいるため、新たな技術や開発についての情報収集の際に英語で書かれた資料に目を通すこともあるでしょう。ブロックチェーンに限ったことではありませんが、最先端の領域に触れていたい場合、最低限の英語の読解能力が必要となります。英語の学習が初めての場合は、初級者を対象としたオンライン講座・書籍を使った勉強や、英検やTOEICに挑戦してみるための学習を始めてみることから始めましょう。
元々英語のスキルがある程度ある方も、ブロックチェーン・IT関連の本を読んでみるなど、専門的な単語に触れ、学ぶことができる機会を増やしてみることをおすすめします。
【ブロックチェーンエンジニア】おすすめのオンライン学習教材
ブロックチェーンの勉強を始めて間もないうちは書籍での知識のインプットに取り掛かることが最優先かもしれませんが、ある程度知識を身に着けた後は、実際に手を動かしながら実践的なスキルを習得することが求められます。
しかし、ブロックチェーンは比較的新しい分野であることから、良い学習教材を見つけるのに苦労している方も多いかと思います。以下、ブロックチェーンエンジニアに必要なスキルを習得するためにおすすめのウェブサイトをご紹介します。
ブロックチェーンの学習におすすめのウェブサイト
- PoL(ポル)-ブロックチェーン技術が使われている仮想通貨とは何か、という基本的な部分から丁寧に解説してくれています。
- CryptoZombies-ブロックチェーンで使用されるプログラミング言語「Solidity」を学ぶことが出来ます。
- Aidemy(ブロックチェーン基礎コース)-AIを学ぶための教材ですが、ブロックチェーンなどの他の最新技術も取り扱っており、ゲームを通して基本的なスキルを身に着けることができます。
ブロックチェーンエンジニアに関するよくある質問
ここからは、ブロックチェーンエンジニアを目指す方からよく挙がる質問とその回答をご紹介します。
ブロックチェーンエンジニアの年収は?
「フリーランススタート」が2021年に公表したデータによると、ブロックチェーンエンジニアの平均年収は約950万円となっています。ブロックチェーンエンジニアは非常に専門性が高いことから希少価値が高く、需要が高い職種となっていることから、未経験でも挑戦可能かつ高い収入を期待できる職種となっています。特に現在システムエンジニアとして働いている方は、ブロックチェーンエンジニアへの転職も比較的容易かつ、大幅な年収アップも期待できるかもしれません。
ブロックチェーンエンジニアの将来性は?
ブロックチェーンエンジニアの将来性は非常に高いと言えます。主な理由としては
- ペイメントサービスの増加
- 急速な成長が見られるが、専門的な人材の圧倒的な不足
が挙げられます。
仮想通貨をはじめとするフィンテック分野以外でも、ブロックチェーン活用への期待が高まっており、サイバーセキュリティ分野などが代表的な例です。そのため、2023年以降も専門的な知識を持ち合わせたブロックチェーンエンジニアの需要は高く、将来的にも求められやすい存在となるでしょう。
ブロックチェーンエンジニア | まとめ
2023年以降、更なる技術開発やそれに伴う開発者への需要急増が見込まれるブロックチェーン領域。ブロックチェーンエンジニアは、専門的な知識・スキルが求められる職種ではありますが、未経験でも独学により転職することが可能な職種です。
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