
社内SEは、転職を希望するエンジニア・プログラマーに人気のある転職先です。しかし、社内SEへの転職は難しいと言われることが多いです。これは何故なのでしょうか?
今回の記事では、社内SEへの転職が難しい理由を中心に、社内SEに転職する前に知っておきたい基本事項や転職を成功させるポイントをお伝えします。
社内SEへの転職は難しいのか
社内SEへの転職が難しいと言われる理由は、主に以下の3つです。
- 社内SEの募集枠が少なく、競争率が高いから
- 年齢やスキルの採用基準が厳しい傾向があるから
- 社内SEの役割や業務内容が企業によって違うから
理由1・社内SEの募集枠が少なく、競争率が高いから
社内SEは人気のある職種ですが、その他IT職種と比べて転職市場での社内SEの募集枠は少ない傾向にあります。大規模な募集は滅多になく、たいていの場合は欠員募集や事業拡大のために1、2名募集する程度です。
その一方で、社内SEを志望する人、第2・第3候補として検討しているエンジニアは多いです。限られた募集枠に大量の求職者が殺到するため競争率も採用基準も高くなることは避けられず、転職が難しくなります。
理由2・年齢やスキルの採用基準が厳しい傾向があるから
社内SEとして需要があるのは、幅広く実務を担える、スキルの高い人材です。企業は社内SEの育成に多大なコストをかけられないため、実務経験があり即戦力となる人材を求めています。一方で、経験はあっても実務から離れた管理職レベルになると、社内SEとして戦力になりづらいという判断がされることもあります。
このことから、20代前半の第二新卒者や経験の浅い応募者、40代後半以降の方は社内SEには採用されにくいのが現状です。
理由3・社内SEの役割が企業によって異なるため転職活動がしにくいから
社内SEと一口に言っても、企業が期待する社内SEの役割や業務はそれぞれ異なります。
ある企業では社内システムの要件定義や企画がメイン業務かもしれませんが、別の企業では社内のITヘルプデスクの業務がほとんど、という場合もあります。または、自社のシステムやサービスを開発するエンジニアを社内SEと呼ぶ場合もあります。
応募先の企業が求める社内SEの役割に沿ったスキルや経験をアピールできなければ書類選考や面接をパスすることは難しいため、転職活動の難易度が高くなります。
社内SEの仕事内容
先に述べたように、社内SEの仕事内容は企業によって大きく異なります。一般的には次のような業務を担うことが多いです。
社内のシステムやインフラ、ハードウェアの管理
社内で使用する基幹システムやネットワーク、サーバーなどのインフラを、問題なく使用できるようにするための業務です。定期的なメンテナンスはもちろん、社員の入退社に伴うアカウント・ライセンスの管理やハードウェアの手配、システムの不具合への対処などを必要に応じて行う必要があります。
外部サービスを利用している場合は、社外の取引先とのコミュニケーションも担います。
社内システムやサービスの企画・開発
社内で使用するITシステムを自社開発している場合、社内SEがこの企画や開発を行うことがあります。情報システム部門の規模が大きい場合はシステムやサービスの企画から開発を一手に引き受けることもありますが、外部のベンダーに実装部分を委託し開発プロジェクトの進行管理を中心に担当することもあります。
システムによる業務効率化
既存業務の問題点や非効率な部分を洗い出し、効率化のためのサービスや仕組みの導入の提案・実行を行う仕事です。経営目線でビジネスプロセスを分析し、金銭面・人員面でのコスト削減に貢献できる、社内SEならではの業務の1つです。

社内で起きたITトラブルに対処するヘルプデスクの役割が求められる場合もあります。
対応内容はネットワークのトラブルからハードウェアのちょっとした操作方法まで実にさまざまなため、幅広い対応が必要になります。社員全員がサポートの対象になるため説明相手のITリテラシーもさまざまで、コミュニケーション能力が必要になる業務でもあります。
上記以外にも、社内SEが会社のセキュリティ管理全体を統括している場合もあり、ITシステムのコスト管理や投資判断を行うケースもあります。
社内SEに求められるスキルや経験
社内SEの仕事内容が多岐にわたることから、社内SEに求められるスキルや経験も企業ごとに異なります。ただし、社内SEは深い専門性よりも、幅広いスキルや経験が求められることが多い傾向にあります。
大企業の場合システム部門の規模が大きく分業が進んでいますが、そういった企業ばかりではあリません。社内SEが1名~数名のみの企業も多くあります。
そのため、社内SEにとって技術力の高さは必要要件ですが、深い専門性よりもIT知識を一通り備えたうえで、必要に応じて外部のベンダーと協業できるスキルの方が重宝されるでしょう。
さらに、社内外の人々と関わる社内SEは、対人能力や折衝能力なども必要です。
社内・社外の人を巻き込んで業務を進めていくことも多いため、人あたりのよさや根回し力などは重要なスキルといえます。上記以外にも、プロジェクトマネジメントのスキルは歓迎される可能性が高いでしょう。
社内SEの年収
社内SEの平均年収は、SIerと呼ばれるシステムインテグレーターに勤務する場合やその他エンジニア職に就く場合の給与よりもやや低い水準とされています。
しかし、平均年収はあくまで社内SE全体での数値です。社内SEの年収は勤務先企業の業界や給与規定に左右される場合が多いため、もちろん平均以上の年収がもらえる求人も多くあります。例えば、給与水準の高い医薬・医療業界や生命保険・損害保険業界、または外資系企業の場合、より高額な年収が提示される可能性が高いでしょう。
また、年収だけでなく福利厚生などの別の観点も重要です。メーカーなど、福利厚生が比較的手厚い企業の場合、家賃補助や手当などを考慮すれば可処分所得が多くなる場合もあります。年収含め、社内SEの求人条件を総合的に考慮して転職判断をするのがおすすめです。
社内SEと呼ばれる各ポジションの年収水準は、Computer Futuresの給与水準ガイドに記載しております。給与水準ガイドは下記のページよりダウンロードいただけます。

2021年度給与水準ガイド
社内SEへの転職が人気の理由
難易度の高い社内SEへの転職ですが、エンジニア・プログラマーの間で非常に人気があります。
ユーザーとの距離が近く、やりがいを感じやすいから
志望理由として、ユーザーと距離が近く長期的に関われるという点を挙げる人が多いです。システム会社で働く場合はプロジェクトが終了すれば顧客と関わることがないうえ、顧客と折衝するポジションにいなければ顧客の意見やシステムへの満足度を直接確認することはできません。
一方社内SEの場合、システムやサービスのユーザーは社内にいますので、彼らの要望を汲み上げて密接にコミュニケーションを取りながら仕事を進めることができます。さらに企画・開発したシステムは保守・運用まで社内で行うため、仕事の全体像を捉えることができたり、プロジェクトの意義や達成感を感じたりしやすいといえます。
幅広い知識と経験が身につく
さらに社内SEが人気な理由として、業務知識や技術以外の周辺業務のスキルがつくという点が挙げられます。ユーザーから直接ヒアリングをしたり業務フローを分析してシステムを企画したりすることで幅広い経験を積めるため、キャリアアップにつながります。
比較的残業が少なく働きやすい環境
社内SEは一般的な請負会社と比べて残業が少なく、仕事環境やスケジュールが安定しており仕事がしやすい、という意見もあります。もちろん企業ごとに条件は異なりますが、客先への訪問や常駐を行うシステム会社よりも比較的落ち着いて仕事ができる環境にあると言えるでしょう。

社内SEへの転職は難易度が高いですが、ポイントを押さえればミスマッチを起こさずに転職活動を成功させることができます。大切なのは「企業が求める社内SEとしての役割に、自分の経験とスキルが合致していること」を確認し、選考時にアピールすることです。
そのためには、
- これまでの職務経験や持っているスキルをまとめる
- 企業分析を行って社内SEの業務内容を把握する
- 適切な志望動機を用意し説明できるようにする
といった準備が重要になります。
また、募集を見つけたらできるだけ早く応募するのもポイント。数少ない社内SEの求人にはたくさんの応募者が殺到しますので、面接の枠を確保して選考のチャンスを獲得するためにも素早い行動が鍵になります。
希望する職務内容に応じて書類準備や面接対策を事前に済ませ、転職エージェントと協力して求人が出たらすぐに知らせてもらうようにするのがおすすめです。
まとめ
本記事では社内SEへの転職が難しい理由を解説し、転職を成功させるために知っておきたいポイントをご説明しました。
社内SEへの転職は競争が激しいですが、技術や経験のある人材は企業からの人気も高いです。転職を成功させるポイントを押さえた上で、ぜひ応募してみてください。語学スキルもあれば、外資系企業などの年収水準の高い企業の社内SE職にも挑戦できるでしょう。
まずはご自分のキャリアの方向性や企業・仕事内容を確認し、ご自身の経験やスキルを棚卸して選考でしっかりとアピールできるようにしましょう。
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