
ITエンジニアからの転職が多く見られるIT営業。今まで培ってきたIT知識だけでなく、高度な営業スキルも求められる、非常にやりがいのある職種として近年人気を博しています。IT業界や営業未経験の場合でも、IT技術に関する知識や興味関心があれば就職・転職が可能で、場合によっては大幅な年収アップも期待できます。
今回は、IT営業の仕事内容を10のIT分野ごとに解説、また、未経験からIT営業としてキャリアアップを目指す方に向けた転職のコツについて詳しくご紹介します。
[目次]
IT営業の仕事内容とは
IT営業は基本的には法人営業(BtoBの営業)となります。
・見込み客の新規開拓・ヒアリング
・プレゼン資料の作成
・自社商品・サービスを売る
・既存客のアフターフォロー
・契約書類の作成などの事務作業
・IT技術者との打ち合わせ
基本的には、サービスを求める企業のもとに出向き、自社商品の特徴や導入メリットと企業のニーズを結びつけ、導入を促すのがIT営業の役割となります。営業という名ではありますが、IT営業の本質は「お客様の問題を解決すること」にあります。「コストダウン」「スピードアップ」「業務の簡素化」などの企業の要求にどのように答えることが最適かを見出し、そのニーズに対してベストな提案をするためのITに関する知識や営業のスキルが求められます。
IT営業の職務内容は、取り扱う商品によって多少異なります。以下、代表的な10の分野におけるIT営業の分野と、その仕事内容についてご紹介します。
IT営業の10種と仕事内容
1.ソフトウェア営業
ソフトウェア・ゲーム・OSなどのパッケージ化されたソフトウェアの営業です。商品がパッケージ化されているので営業しやすく、ルート営業や反響営業が多いので営業の難易度は比較的低いと言えますが、会社によっては(特に大手企業では)テレアポが多く辛いと感じる人もいるかもしれません。マイクロソフト・Oracle・SAPなどがソフトウェアを扱う代表企業として挙げられます。
2.ハードウェア営業
通信機器・パソコン・サーバーなどのハードウェアを扱います。ルート営業や代理店営業が多く、家電量販店など、自社商品の販売してくれるようルートで回り営業をかける仕事です。ハードウェア営業は大手が多く、代表的なハードウェアの会社としては、Sony、東芝、NEC、富士通、日立、Apple、IBMなどが挙げられます。
3.Sler営業(システム開発のコンサル営業)
コンサルティングから、設計・開発・運用・保守まで、システム開発の業務を一括で請け負う業務です。ゼロからシステムの開発を行うので、IT知識が必須であり、未経験では難しい業務ではありますが、売れた時のインセンティブが多く達成感を味わえるというメリットもあります。ライバルが多いため、高度な営業力も求められます。
代表的なSler企業としては、野村総研、NTTデータ、伊藤忠テクノソリューションズ、日鉄住金ソリューションズなどが挙げられ、多くの大手企業が名を連ねています。
4.受託開発営業(モバイルアプリ・Webアプリケーション・先端技術実装)
受託開発は、Sler営業よりも少し業務が限定されているポジションです。コンサルティングなどは担当せず、システム開発のみを請け負います。ライバル社が多く、求められるIT知識や技術も高いですが、IT業界においてキャリアアップを狙う方にとってはおすすめの職種の一つです。
5.クラウドサービス(IaaS・PaaS・SaaS・BaaS)の営業
近年ニーズが高まっているクラウドサービスの営業です。SaaS(Service as a Service)などのクラウドサービスを企業に導入することを提案し、企業の課題を解決することを目的としています。代表的なクラウドサービスの企業としては、GCP(Google Cloud Platform)、AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure・などが挙げられます。
6.AI営業(IoT・Web系のAIシステム)
AIやIoT(Internet of Things)商品の提案、そして顧客やエンジニアとのコミュニケーション、案件の管理と契約後のアフターフォロー、導入のサポートを行います。AIもしくはIoTの基本的な知識が必須で、自社の製品やサービスについての専門知識を用いながら、顧客の課題を解決するためのベストなソリューションを提案します。
IoT・AIを扱う代表的な企業例としては、シャープ、スカイデスク、WHILL、ソフトバンクなどが挙げられます。
7.ブロックチェーン営業
ビットコインなどの仮想通貨のコア技術となっているテクノロジー、ブロックチェーンの営業です。NTTデータや日立などが代表的な企業例として挙げられます。
「フィンテックで今後期待される注目サービスとは?【2022年・2023年】」の記事でもご紹介したように、20222023年以降もブロックチェーン技術の重要性がより増していくことが期待されています。ブロックチェーンの営業は、専門的な知識が必須ですが、非常に将来性が期待できるポジションでもあります。
8.VR・AR・MRの営業
こちらも注目の分野であり、導入を考える企業が多いため、将来有望な営業職の一つと言えます。大手企業だけでなく中小やベンチャー企業からの求人も多く、将来性も高い注目の分野です。
9.ITコンサルタント
ITコンサルタントは、システムの導入を通してクライアント企業の抱える課題を解決していくポジションです。ITコンサルタントの営業活動では、ITの力で課題を解決するための圧倒的な情報量が必要となるため、仕事を進める中でITや経営的に関する知識を蓄えることが出来ます。
ITコンサルティングに携わる主な企業例としては、デロイトトーマツ、IBM、PwC、アクセンチュアなどが挙げられ、有名外資系企業が市場を独占する形となっています。
10.Web系の営業
Webサイト・サービスの作成や、SEO対策、Web記事執筆の代行、Web広告の代行、YouTubeの動画広告、Webコンサルなどが含まれます。中小企業やベンチャー企業などでも需要が高く、未経験の場合でも独学である程度の知識を得られるメリットがあります。この分野、特にSEOなどはトレンドが頻繁に変化するため、常に最新の情報を収集する必要があります。
IT営業のやりがい
IT営業に転職するメリットとしては、
- IT技術や知識を一から学ぶことが出来る
- 業界経験者の場合、今までに培ったIT技術や知識を活かせる
- ライバル企業の多い業界において、高度な営業力を身に着けられる
- 結果が数字として表れる場合も多く、顧客の課題を解決した達成感を得られる
などが挙げられます。開発スタッフとクライアント企業との板挟みになる苦労もしばしばみられるIT営業ですが、無事に納品を済ませ、自分の提案により企業が課題を解決した際には大きな達成感を味わうことが出来るでしょう。
IT営業に転職するためのコツ【5つのステップ】
IT営業は業界未経験でも転職が可能な職種です。ここからは、未経験からIT営業に転職するために押さえておきたいポイントを、応募~面接までの時系列に沿って解説します。
未経験でも採用されやすい分野のポジションに応募する
前述の通り、IT営業にも様々な種類がありますが、エリアによっては未経験からの採用を積極的に行っていないものも存在します。
- ソフトウェア営業
- AI営業
- VR・AR・MRの営業
- Web系の営業
は、未経験からでも比較的転職がしやすい分野です。将来性に関しても問題ないので、IT営業未経験の方は、まずこの分野への応募を検討してみることおすすめします。
応募する前にITの基礎知識を勉強しておく
また、IT技術は常に刷新されているため、日ごろから興味を持って情報を収集する癖がついている人は、IT営業としての活躍が期待できるでしょう。特に未経験の方は、より多くの知識を身に着けることに積極的な姿勢が欠かせません。
IT営業に必要なIT知識は、資格取得を通して身に着けることが可能です。以下、IT営業に転職する際に重宝する資格やスキルをご紹介します。
IT営業への転職に有利な資格・スキルを取得する
IT営業に転職するために必須の資格はありませんが、持っていると役に立つ資格やスキルがいくつか存在します。
資格
- ITパスポート:ITに関する基礎知識、経営管理、マネジメント、財務の基礎知識に関する資格。IT営業の求人募集の条件に設定されることもある。
- 基本情報技術者:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が情報処理促進に関する法律に基づいて実施される国家資格で、基本的なIT知識、論理的思考力、マネジメントの知識などが問われます。ITパスポートよりも難易度が高く、合格率も20%~30%にとどまる。
- 応用情報技術者:基本情報技術者のワンランク上の、ベテランエンジニア向けの上位資格。こちらも合格率20%程だが、省庁・官公庁などの公務員系の職種でも高く評価される資格で、IT営業が取得すれば大きな武器になる。
- システムアーキテクト:IPAの認定試験で、プログラミングやエンジニアの上級職で、試験の難易度は最上位のレベル4。開発の上流工程で必要となる知識だけでなく、ビジネスやマネジメントなどの高いスキルを求められる。
- セールススキル検定:営業職で必要なスキルを正しく測定し、現場で本当に役立つ資格を提供する目的で運用されている。良好な対人関係を構築するスキル、コミュニケーション能力、計画立案とそれを実行する行動力を測定する。
IT営業にとって、IT関連の資格取得は大きな武器になります。また、営業に関する資格の取得も後々様々なシーンで活かすことが出来るでしょう。
スキル
- 顧客の課題とニーズを引き出すヒアリングスキル
- 自社の製品・サービスを魅力的に顧客へ伝える資料作成スキル・プレゼンテーションスキル
- 社内プログラマーやエンジニアなどに顧客の要望を伝えるコミュニケーション能力
- 社内プログラマーやエンジニアの納期を適切に管理するスケジュール管理スキル・マネジメントスキル
- システムやプログラミングの知識
- 営業職に必要なヒューマンスキル(誠実さなど)
- ワード・エクセル・パワーポイントなどのOfficeソフトの基本的なスキル
取り扱う商品や関連する業界・競合他社について学ぶ
IT営業は、取り扱う商品によっては他業種の企業と関わる場合もあります。例えば、エンジニア派遣の営業であれば派遣先の業界や人材派遣業界、システムの営業であればシステム導入先の業界が例として挙げられます。顧客となる企業の業界や情勢について知識を身に着けることで、顧客が抱える課題が特定でき、喜ばれる提案が出来るようになります。
また、競合他社とその商材について知ることで、業界における応募先の企業の立ち位置や強みを知ることができるだけでなく、志望理由の一つとしてこの強みを言及することで、しっかりとした業界研究を行っていることをアピールすることにも繋がります。
レジュメや面接では、必要なスキルを持ち合わせていることをアピールする
IT営業へ未経験で応募する際は、レジュメや面接の志望動機で自身の強みをアピールすることが大切です。営業経験がある場合は、今までどのような業界で何を扱っていたのか具体例を挙げつつ、営業実績と応募する企業で生かせる経験や営業のスキルについて、積極的にアピールしましょう。営業経験がない場合は、これから関わることになる業界や商品に関する知識や、今までクライアントや社内関係者と効果的に連携してきたコミュニケーション能力など、営業職で役立つ自分の強みについて触れましょう。

IT業界での転職を成功させるには?転職エージェントだからこそ知っている秘策をご紹介
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営業職での転職におすすめの外資IT営業とは?志望動機の例文もご紹介
記事を読むIT営業の年収
前述の通り、IT営業は10種類ほどに分類され、それぞれの年収は大きく異なります。Dodaが行った調査の結果では、2021年におけるIT営業全体の年収は478万円でしたが、代表的なカテゴリごとのおおよその年収は以下となっています。
- ソフトウェア営業: 500万~700万円
- ハードウェア営業:400万~600万円
- Sler営業:450~1000万円
- 受託開発営業:450~700万円
- クラウドサービスの営業:500~700万円
- AI営業:500~700万円
- ブロックチェーンの営業:500~700万円
- VR・AR・MRの営業:400~700万円
- ITコンサル:600~1000万円
- Web系の営業:400~700万円
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