
新しい仕事のオファーを受けましたか?おめでとうございます!しかし退職というのは時に気まずいものです。これまでの仕事をとても気に入っていた場合も、そうでない場合も、後を濁さずに旅立ちたいものでしょう。
今回は、このプロセスを経て夢の仕事を手に入れた際、今の職場を円満に去るための7つのヒントや、スマートな引継ぎの仕方、カウンターオファーに関するよくある質問とその回答をご紹介します。記事の最後では、退職における標準的なプロセスや気を付けるべき点をまとめた円満退職ガイドをご用意しておりますので、そちらも是非ご活用ください。
[目次]
- 退職の伝え方のポイント7選
- 退職の伝え方に関するよくある質問
- 同僚やチームメンバー、取引先にはいつ伝える?
- 引継ぎはどのようにするのがベスト?
- 転職先は言うべき?
- 引きとめられた場合はどう対応するべき?【カウンターオファーについて】
これから転職活動を始める、もしくは始めたばかりの方は、転職活動におけるヒントとしてこちらのヒントもあわせてご覧ください:
退職の伝え方のポイント7選
1.まずは直属の上司に口頭で
職場には複数の上司がいますが、まずは直属の上司に退職を切り出すようにしましょう。直属の上司の前に、人事部や上司の上司などの役職が上の人に伝えることは失礼にもあたります。上司の承認を得た上で時期を見て報告するようにしましょう。
上司にアポイントメントを取り、他の社員がいない空き会議室やドアがある打ち合わせスペースなど、プライバシーが保たれている環境で報告するようにしましょう。また、アポイントメントを取る際は事前に退職を匂わせないよう「今後のことでご相談したいことがあります」などと伝え、時間を設定してもらうようにしましょう。
2.退職希望日の1.5~2か月前に伝えるのがベスト
上司に声をかける時期は、可能であれば退職希望日の1.5~2か月前までが理想的です。正社員に代表される無期雇用契約の場合、法律上では退職の二週間前までに退職の意を伝えれば問題はありませんが、退職のための書類の準備や業務の引継ぎ、有給消化などにかかる時間を見積り、余裕を持って伝えることが好まれます。
具体的な退職のタイミングについては、会社と自分への影響を考慮に入れ、大きなプロジェクトが終了したタイミングや、繁忙期ではなく落ち着いている時期を選ぶなど、自分が辞めることによる影響が少なくなる時期を選びましょう。また、会社によっては退職に関する独自のプロセスやマニュアルを用意している場合もあるので、それらも忘れずに確認するようにしましょう。
3.伝えるべきことと伝えるべきでないことを見極める
退職を会社へ伝える際には、伝えるべきことと伝えるのを避けるべきことがあります。特に、退職の裏にネガティブな理由がある場合は、素直にすべてを伝える必要はありません。皆さんが働く業界が狭い場合は特に、業界における皆様の後々の評判にも関わることになりますので、可能な限り円満に退職できるよう、ポジティブな理由を中心に伝えるようにしましょう。ここからは、円満退職のために会社や上司に伝えるべきことと、伝えるべきでないことをご紹介します。
伝えるべきこと
強い退職の意思
退職を切り出す際は、自分の退職の意思の固さが伝わるような言い方を心がけましょう。「退職を迷っていて・・・」「退職に関するご相談があるのですが・・・」などと伝えると、上司から辞めない方向に説得される可能性があります。また、「退職させていただきたいのですが」といった断定しない表現も意思の弱さを感じさせます。優柔不断な態度を見せずに退職の意思を的確に伝え、交渉が長引くのを防ぎましょう。
引きとめにくい退職理由
退職を伝える際に、会社へ残ってほしいと引きとめられるケースが多々あります。そのため、上司に納得してもらえるような、正当性のある前向きな退職理由を伝えるようにしましょう。しかし、円満に退職するためだけにその場限りの理由を伝えることはおすすめできません。退職後も何らかの繋がりを持つ可能性や、仕事で再会する可能性もあることを考え、嘘のない透明性のあるコミュニケーションを心がけましょう。
退職理由例:
「大変急で申し訳ありません。現在の仕事をしていくうちに、自分の力でゼロから事業を作っていけるスキルを身につけたいと思うようになり、ベンチャー企業のサービスの立ち上げから関わることになりました。わたし自身もしっかり考え、家族とも相談した結果です。この会社で経験させていただいたことは本当に感謝しています。心機一転、新しい会社で頑張りたいと思いますので、退職の段取りについて相談させてください。」
正当な退職理由の例としては、
- 次の職場でやってみたいことがある
- 家庭の事情
- 病気、特病の悪化
などが挙げられます。
受け入れてもらいやすい希望退職日
退職日を設定する際は、以下の点について考慮に入れるようにしましょう。
- 転職先への入社予定日
- 業務の進行状況
- 業務の引継ぎ状況
- 有給休暇の消化
- 就業規則
上司に自分が想定している退職日を伝えた際に、退職日の延長を切り出されることもあります。入社日をどこまで引き延ばすことが可能か転職先に事前に確認し、あらかじめ調整可能な範囲を知っておくことも一つの手ですが、入社日の変更は転職先にとっても負担となるため、強い決意を持って退職日を伝える必要があることを念頭に置いておきましょう。
これまでの仕事の機会への感謝
円満に退職するためには、これまでの感謝の気持ちを伝えることは非常に大切ですし、これは社会人としての最低限のマナーであるとも言えます。退職を伝える際には、これまでお世話になったことに対する感謝と、退職後もこの繋がりを大切にしていきたいという気持ちを表すようにしましょう。
伝えない方が良いこと
会社への不満や批判・人間関係の問題
会社やチームのメンバーの愚痴や待遇の不満について言及することはタブーです。たとえ職場の人間関係に疲れ果ててしまい退職に踏み切ることを決断したとしても、「どの職場にも馬の合わない人はいるものだ」と説得されかねませんし、部署の変更によって解決しようと考える企業も少なくありません。仮に部署の変更という選択をしたとしても、今後も過去に人間関係の問題で退職を切り出した人物というレッテルはなかなか剥がれず、その後の評価に影響が出ないとも限らないでしょう。
その他のネガティブな退職理由
退職理由はなるべく出来るだけポジティブな言い方で伝えましょう。「今の仕事が合わない・好きではない」といった理由も、もう少し頑張って続けることで面白みも出てくるものだ」と引きとめる材料となりかねません。仮に現職に気に入らないことがあるとしても上司に本当の理由を述べる必要はなく、「新しくやりたいことが見つかった」などと伝えてしまうのも一つの手です。もしくは、「現状ではどなたにもお伝えしていないので伏せさせていただきます。落ち着いたら改めてご連絡を差し上げます」などと切り抜けても良いでしょう。
4.退職までに必要な手続きを済ませる
退職することを会社に受け入れてもらった後は、退職までに必要な手続きを進めましょう。
【退職準備のチェックリスト】
- 退職日・入社日の入社日の最終調整・決定
- 退職届の提出
- 業務の引継ぎ
- 雇用保険や税金、年金に関する手続き
退職の意思表示は基本的には口頭でも認められますが、就業規則で書類の提出が決まっている場合もありますし、「退職の希望を聞いていない」といったトラブルを防ぐためにも最終的には文書で意思表示をすることが望ましいでしょう。
退職届のテンプレートはこちらの円満退職ガイドよりご覧可能です。

また、転職をする際、引継ぎを完了させるのはビジネスの上で当然の慣習です。可能な限り詳細に、多くの情報を皆さんの後任者に伝えましょう。引継ぎのプロセスについては、記事の後半でご紹介しています。
雇用保険に関しては、退職後も同じ番号を新しい就職先に引き継ぐことになります。退職後に元の会社から送られてきた雇用保険被保険者証を転職先の企業へ提出しましょう。税金に関しては、今の会社から源泉徴収票をもらい、次の転職先へ提出する、または離職期間がある場合には翌年に自分で確定申告をしましょう。
年金に関しては、離職期間がない場合の手続きは不要ですが、次の企業に入社するまでに一定の期間がある場合は国民年金への移行手続きが必要となります。現在の勤め先の人事部へ確認し、必要な場合は手続きを忘れず行うようにしましょう。
5. 最後まで前向きに、職務を全うする
現在の仕事や職場に対する皆さんの感情がどのようなものであれ、最後の日々を明るく乗り切ることができれば、前向きな気持ちで退職することができます。上司や同僚には、皆さんが現職からどのようなことを学んだかを伝え、会社で過ごした時間で得られた良い点に目を向けるようにしましょう。
また、退職前の数週間、ダラダラと過ごすことのないように気を付けましょう。同僚や上司が、皆様のスキルだけではなく、仕事への取り組み方や勤務態度についても後々まで良い印象を持ってくれるようにしましょう。
6.上司や同僚の連絡先を交換しておく・退職後も関係を断ち切らない
キャリアで成功するためには、ネットワーキングは非常に大切です。退職後も元上司や元同僚と連絡を取り合える関係を維持しましょう。また、新しい仕事に就いた後も、前職での同僚に連絡する必要がいつ生まれるかわかりませんので、今まで築いたネットワークをきちんと保っておくことが賢明です。個人用メールアドレスを交換し、LinkedInなどのソーシャルメディアで繋がりを持つようにしましょう。退職後は、定期的に近況を報告し合う、彼らとセミナーなどに参加するなどの機会を設けると良いでしょう。
7. レファレンスをお願いする
もしあなたが円満に退職したのなら、雇用主から心強いレファレンスをもらえるはずです。仕事を離れる前にレファレンスを頼みましょう。LinkedIn上でも推薦をもらうことができれば、皆さんがどれだけ優れた人物かを公に示すことも可能です。
退職の伝え方に関するよくある質問
ここからは、現職への退職の伝え方に関連した、よくある質問と回答をご紹介します。
同僚やチームメンバー、取引先にはいつ伝える?
退職が正式に決定した段階で、上司と相談の上、同僚やチームメンバーに伝えるようにしましょう。一方、取引先や後任者への通知は業務が関係するので、こちらも上司と相談の上、引継ぎのめどが立った上でチームが全員いる場で伝える、取引先へはプロジェクトの切れ目でお知らせするなどすると良いでしょう。どちらの場合も、決して自分で進めてしまうのではなく、事前に上司との入念な打ち合わせを挟むことが求められます。
引継ぎはどのようにするのがベスト?
引継ぎの流れは、業務やチームによっても異なりますが、一般的に踏むべきステップは以下となります。
- 業務内容をリスト化する-自分が担当している全ての業務とその後任者、優先度をExcelやTodoリストなどを使い一通り洗い出してみましょう
- 上司と確認-基本的には自分主導で引継ぎの計画を立てた後、直属の上司に相談すると、引継ぎがスムーズに進みます
- 引き継ぎ資料を作成し、業務ごとの進捗や進め方を後任者へ共有する-顧客をはじめ、社外でやりとりをしていた担当者の連絡先も記載するのを忘れないようにしましょう
- 実際に業務を説明-後任者に実際に業務を試してもらい、その横で適宜サポートする形で引き継いでいくとスムーズです
- 顧客や社外の担当者に挨拶する(時期は、上司と相談の上決定)-後任者の紹介も同時に行いましょう
引き継ぎ作業が完了した後も、退職日までは業務をサポートし、退職後も何かあった時に連絡がとれるように連絡先を共有しておきましょう。
転職先は言うべき?
退職を報告する場合、「転職先は決まっているのか?」という問いを受けることになることが予想されます。転職先を伝えるも伝えないのも本人の自由ですが、伝えたくない場合は「まだ決まっていません」と明言を避けることも一つの手です。
競合他社へ転職する場合も、基本的にはその旨を伝える必要はありません。ただ、外資系企業の中には、競合他社へ転職することを報告させ、顧客情報が流失しないようにガーデンリーブを取得してもらう企業も少なくありません。企業によって異なりますので、事前にHRに相談するなどして企業のポリシーを確認するようにしましょう。
引きとめられた場合はどう対応するべき?【カウンターオファーについて】
退職の意思伝えた際に、カウンターオファー(引きとめオファー)を受け取る可能性があります。これは、皆さんが退職の申し出をした際に、現在の雇用主から行われる引きとめ交渉のことで、給与アップや昇進のチャンスなどのこれまでよりも良い条件を持ち出されます。これらの条件は、一時的には魅力的に思えますが、受託する際には極めて慎重に判断する必要があります。
例えば、ソフトウェア会社のEclipse社が行った調査によると、次のような結果が出ています。
現在の雇い主からのカウンターオファーを受諾した候補者のうち、
- 50%は2ヶ月後には再び転職市場に戻ってくる
- 約80%は、6ヶ月以内に退職する
- 約90%は、12ヶ月以内に退職する
「カウンターオファーを受けることで退職動機の裏にあった課題(仕事内容・給与・評価制度など)は解決されるのか?」「上司に決定権のない内容をカウンターオファーとして持ち掛けられていないか・その場しのぎのカウンターオファーではないか?」「会社は自分のキャリアアップのためのプランニングをしっかりと長期的に行ってくれているか?」などを考慮にいれ、様々な慎重に判断するようにしましょう。

必見!応募からオファーまで、転職の注意点に関するFAQ
