
「終身雇用を守っていくのは難しい」とは、日本を代表する大手企業の社長の言葉です。昨今は新型コロナウイルス感染症の影響で多くの企業にテレワークが導入されたことから、今後はますます成果主義になっていくと危機感を覚えた方も多いのではないでしょうか。
50代や60代になっても、現在の雇用が維持されているとは限りません。現状に甘んじることなく変化を求めて転職を行うなら、スタートアップ企業は転職先として有力な選択肢のひとつとなります。
この記事ではスタートアップ企業へ転職する際に注意したいポイントとあわせて、スタートアップならではの魅力やメリットをご紹介します。
スタートアップとは
スタートアップ企業とは、最新技術や独自のアイデアをもとに、新しいビジネスに挑戦する企業のことを指します。企業規模は多くの場合、小規模~中規模程度で、中には法人ではないところもあります。
スタートアップとベンチャーの違い
スタートアップとベンチャーには明確な定義はありません。スタートアップとベンチャーは、小規模~中規模の企業規模であること、新しい事業に取り組む企業であることについては共通の事柄です。
両者とも同じような意味合いで使われていますが、文脈によって使い分けられる場合があります。スタートアップというと、ベンチャーの中でも特に、社会や人々の生活を変えるほどの革新性のある企業を指す場合があります。またスタートアップは短期間で新規事業を軌道に乗せることが目的のひとつです。ほか、事業撤退の出口戦略を持つところもあります。
余談ですが「ベンチャー企業」という言葉は、いわば和製英語です。海外でベンチャー(Venture)というと、投資ファンドを表すVenture Capital(VC)がイメージされます。
スタートアップへ転職する際の注意点
スタートアップへの転職には、大企業への転職とは異なる点があります。ここでは、転職時にどのような点に注意する必要があるのか解説します。
待遇面が充実していない可能性がある
スタートアップの中には業績が右肩上がりの好調な企業もありますが、特に起業して間もない時期には売上が十分ではなく、赤字経営となっているケースもあります。収入アップを期待してスタートアップに転職しても、高い給与がもらえない可能性があることには注意しなければなりません。
また社会保険や制度などの福利厚生、研修のための体制が充実していないところもあります。大企業ほどの手厚いフォローは見込めないと考えておく方が無難でしょう。
企業間の競争が激しい
新しい分野、しかも短期間で事業を軌道に乗せるという世界である以上、当然企業間の競争も激しいものとなります。もし会社の経営が失敗に終われば事業終了となり、再度転職を余儀なくされる可能性は考えておきたいところです。
人手不足になりがち
少数精鋭のチームでは、人手不足は常に起こり、人材の入れ替わりが激しくなりがちです。特に小規模のスタートアップの場合は、仕事の範囲が広く仕事の量も多くなります。従業員は人手不足を感じながら業務にあたることになるかもしれません。
家族に反対されることもある
スタートアップは収入面や労働環境において安定しているとは言い難いため、家族から転職を反対されることもあります。転職を考える際には、家族を説得できるだけの材料が必要です。
スタートアップで働くメリット
スタートアップへの転職にはリスクがあることは否めませんが、そのリスクを上回るメリットもあります。

経営層に近い環境で経験を積める
スタートアップでは経営者と従業員との距離が近くなります。経営層に近い場所で業務に携わることができ、経営者の視点や考え方を学び、事業立ち上げの苦労を経験できます。特に将来的に起業を考えている人には、貴重な経験となるでしょう。
実力主義、意思決定のスピードが速い
企業は規模が大きくなるほど、複数の人の意思決定が必要になり、必然的に業務スピードが落ちます。なかなか業務が進まない現状に辟易した経験がある方は少なくないのではないでしょうか。
スタートアップは少数精鋭である分、意思決定から実行までのスピードが速くなります。このスピード感が変化の多い業界に対応するために必須であり、スタートアップの魅力でもあります。
個人の裁量が大きく、幅広い仕事に携われる
既存の企業では、若い世代が責任あるポジションに就くのが難しい場合も多いです。スタートアップでは個人の仕事の責任範囲が広い一方で、大きな裁量が与えられます。自分の思うように業務を進めたいと希望している人にはマッチする働き方です。
給与アップや昇進は成果次第
多くのスタートアップは人材を年齢や経歴で評価せず、成果で評価します。自分の実力で評価されたい人にとっては働き甲斐のある環境となるでしょう。
スタートアップに向いている人とは?
スタートアップに集まる人材とは、どのようなタイプの人なのでしょうか?スタートアップに向いている人の特徴をご紹介します。

成長したい人
スタートアップには報酬面や労働環境にリスクはあるのは否めません。しかし、そのリスクを取ってでも成長したいと考えている人には、スタートアップへの転職は挑戦する価値があります。新しいスキルを習得する機会となり、将来起業したいと考えている方も経営者のそばで仕事を学ぶことができます。
能動的に速く行動できる人
自分で考え仕事を生み出す人、PDCAを回して仕事を改善できる人、業務の完遂のために速く行動できる人も、スタートアップで活躍できることでしょう。じっくりと腰を据えて物事に取り組みたいタイプの方は、あまりスタートアップには向いていないかもしれません。
変化に柔軟に対応できる人
スタートアップでは、物事がスピーディーに進んでいきます。組織体系の変更や人材の入れ替わりといったスピード感ある環境の変化へ柔軟に対応し、変化を楽しむことのできるマインドを持った人がスタートアップに向いているといえます。
優良スタートアップ企業の探し方
自分にあった優良スタートアップ企業を探すには、以下のようないくつかのポイントがあります。
企業理念や将来のビジョン
企業の理念や将来のビジョン、経営者の考え方に共感できるかどうかが、自分に合ったスタートアップ探しの第一歩です。企業サイトや求人サイトなどに掲載されている企業理念や将来のビジョン、経営者の言葉やSNSでの発信、インタビュー記事など、関連する情報は漏れなくチェックしましょう。
成長性
スタートアップが成長できるかどうかは、資金力が目安のひとつとなります。資金の調達は、企業からのニュースリリースやお知らせで知ることが可能です。
その他、その企業で提供されるサービスの導入実績や導入した企業、売上の推移といった情報で成長度合いを知ることもできます。
社内体制
企業理念や将来のビジョンに対し、社内にどんな専門性を持った人材がいるのか、体制が整っているかも可能な限り調査したいところです。企業理念や将来のビジョンが実現可能なのかどうかは、スタートアップに所属する人材にかかっています。
また経営メンバーがどんな経歴を持つ人なのかも調査が必要です。たとえばエンジニア出身の経営者が多く営業や広報の経験者がいないようであれば、その企業はマーケティングに弱い可能性が考えられます。
制度
スタートアップには、ストックオプション制度を導入しているところがあります。ストックオプションとは、会社の経営者や従業員に対し、会社の株式をあらかじめ定めた価格で将来取得する権利が付与される制度です。報酬のひとつとしてストックオプションに期待しているのであれば、制度があるかどうかはチェックしておきましょう。
まとめ
スタートアップ企業は待遇面や労働環境についての懸念もありますが、大手企業と比べて携わる仕事の幅が広いことなどから、より多くの経験を積むことができます。起業を考えている方や新たなスキルを身につけ成長したい方には、魅力的な転職先だといえるでしょう。しかし、スタートアップは創業から間もない小規模の企業であることから、転職するときには入念に情報収集をしなければなりません。ただ個人で企業の内情まで調べることは難しく、正確な情報にたどり着くまでは多くの時間と手間を要します。
Computer Futuresではスタートアップ企業への転職支援経験豊富なコンサルタントが保持している情報を共有し、懸念事項についても詳しくお調べいたします。将来を見据えたキャリアアップ・年収アップの選択肢としてスタートアップ企業への転職をご検討中の方は、ページ下部のフォームよりお気軽にご相談・お問い合わせください。