
転職活動が順調に進んで最終選考を終え、内定が出たという嬉しいお知らせを候補者の方にお伝えするのは当社のコンサルタントにとって何よりも嬉しい瞬間です。しかし、数日後にその候補者の方から連絡があり、現在の勤め先からカウンターオファーを受けたので考えさせてほしいと伝えられるケースも経験しています。
カウンターオファーとは?
カウンターオファーとは、皆さまが退職の申し出をした際に、現在の雇い主から行われる引き留め交渉のことです。大抵の場合は給与アップや昇進のチャンスなど、これまでよりも良い条件を持ち出されます。
カウンターオファーを提示されたら…
カウンターオファーを提示された場合にまず頭に浮かぶのは、以下の2つの質問でしょう。
1. 内定を断り、カウンターオファーを受け入れるべきなのか?
2. 内定を受ける場合、カウンターオファーによってより良い条件を提示されたことを内定先に伝え、給与や待遇を上げてもらうよう交渉すべきなのか?
このような場合にどうすべきなのか、様々なケースを見てきた私たちの視点からできるアドバイスを以下でご紹介いたします。
カウンターオファーは受けるべきなのか?
私たちは候補者の方に、実際に求人に応募する前にご自身の転職における優先順位及びモチベーションをきちんと分析して理解することを勧めると同時に、私たちもそれらを正しく理解し、その要件を満たすことができる求人をご紹介しています。しかし、前述のように内定を受諾した数日後に「カウンターオファーを受けたので内定受諾はなかったことにしてほしい」という連絡をいただくこともあります。
高い給料はたしかに魅力的な要素ではありますが、私たちの経験では、それは一時的なものに過ぎません。実際、ソフトウェア会社のEclipse社が行った調査によると、次のような結果が出ています。
現在の雇い主からのカウンターオファーを受諾した候補者のうち、
- 50%は2ヶ月後には再び転職市場に戻ってくる
- 約80%は、6ヶ月以内に退職する
- 約90%は、12ヶ月以内に退職する
また、カウンターオファーを受諾する際には、以下の点についてよく考える必要があります。
1.「一度退職を決めた人」として扱われることに不自由はないか
肩身の狭い思いをする、という気持ち的な部分もですが、会社への忠誠心が疑われることで昇進や成長できる仕事の機会が減ってしまうなど不利益を被る可能性もあります。
2. カウンターオファーの提示によって、転職に至った理由や不満を解決できるか
短期的な昇給や年収アップは可能かもしれませんが、長期的な目線で皆様の不満を解消できる解決策なのか、またキャリアゴールや求めるものを達成できるかどうかを考える必要があります。
3. カウンターオファーが単なる口約束となっていないか
皆様を引き留めるための口約束となるのを避けるために、提示された内容を書面で確認する必要があります。
一見魅力的に思えるカウンターオファーであっても、受諾する際には極めて慎重に判断する必要があります。
カウンターオファーを盾にして、新たな雇い主と交渉すべきなのか?
では、カウンターオファーを断って新たな仕事の内定を受諾する場合、カウンターオファー提示されて条件を盾にして新たな雇い主に給与や待遇アップの交渉をすべきなのでしょうか?それとも、リスクを避けて当初の条件でそのまま内定を受け入れるべきなのでしょうか?
CareerBuilder社が行った調査によると、
- 56%の候補者は、カウンターオファーを提示されても給料アップの交渉をしない
- 51%の候補者は、より高い金額を要求することに抵抗がある
- 47%の候補者は、高い給与を要求したら新たな雇用主が内定を取り消すのではないかと懸念している
との結果が出ています。
交渉する際に気を付けるべき点
交渉するかどうかはご自身の判断となりますが、内定時に提示された給与が期待していたよりも低いなどの理由で交渉をすると決めた場合、まずは以下の点を確認しましょう。
- 給料に柔軟性があるか、すなわち目標を達成した際のボーナスやインセンティブの可能性があるかどうかを尋ねる
- 給与そのものではなく、住宅補助や子供の保育料・学費補助など別の形での福利厚生を受けることが提供できるかどうかを確認する
これらを確認後にやはり給与そのものの交渉を行うとなった場合は、以下の準備をしておくことをお勧めします。
- 自分のポジションの市場における給与水準を把握しておきましょう。業界水準よりも高い給与を要求する場合は、それの裏付けや根拠となるものが必要です。
- 自分がそのポジションに最適な候補者である理由を用意しておきましょう。より良いオファーを受けるべきであることを正当化するビジネスケースを用意し、ご自身の付加価値や予想される収益の増加を定量化して示すことができれば、より良い給与を得られる可能性が高くなります。
- ご自身の優先順位を考え、自分にとって大切なものを改めて考えてみましょう。より高い給与に値する働きぶりやコミットメントが今の自分にとって可能かどうかを分析してみることも必要です。
- 新しい会社と自分の役割や責任、出張の有無、勤務時間の柔軟性、成長と昇進の機会、特典、トレーニングプログラムなど、手に入る情報にはすべて目を通しておきましょう。相手を知ることは交渉の基本であると同時に、それらを知らずに自分の利益だけを求めるのは失礼に当たります。
- 交渉内容はバラバラに伝えるのでなく、まとめて相手に提示しましょう。また、交渉を持ち出す前に内定そのものに対するお礼を伝えることを忘れずに!
カウンターオファーに基づく交渉は、新しい雇い主のリソースや意欲など様々な要素に左右されるため、当然ながら成功するとは限りません。しかし、要求しなければ何も得られないこともあるということも頭の片隅に置いておく必要があります。
Computer Futuresがお力添えいたします
Computer Futuresでは、転職活動におけるすべてのプロセスにおいて皆様と将来の雇い主となり得る企業の間に立ち、コミュニケーションや交渉をスムーズ進めるためのお力添えをいたします。IT領域で新たな機会をお探しの方は、以下からお気軽にお問い合わせください。
また、今回ご紹介したカウンターオファー以外の部分についても、退職プロセスにおいてすべきことをチェックリスト形式でまとめた「円満退職ガイド」をご用意しております。以下から無料でダウンロードいただけます。

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