
クラウドエンジニアは、クラウドを利用するシステムのインフラやミドルウェアに責任をもつ、やりがいのある職種です。多くの企業がクラウドの利用を進めており、クラウドエンジニアの需要が高まっています。
この記事では、クラウドエンジニアの仕事内容やクラウドエンジニアに転職するために必要となるスキル・知識、役立つ資格などについて解説します。

クラウドエンジニアとは
クラウドエンジニアとは、クラウドを利用してシステムのインフラやミドルウェアを設計・構築・運用するエンジニアです。
クラウドはSaaS、PaaS、IaaSなどに分類されますが、クラウドエンジニアがおもに利用するのはPaaSとIaaSになります。たとえば、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureといったクラウドサービスを利用します。
クラウドエンジニアの仕事内容
ここでは、クラウドエンジニアの仕事内容を設計・構築・運用とフェーズに分けて解説します。
設計
設計フェーズでは、クライアントからの要件をもとに、システムに必要なインフラやミドルウェアを定めます。システムのインフラやミドルウェアの要件は、基本的に非機能要件です。情報処理推進機構が公開している非機能要求グレード2018によると、非機能要件は以下の6つに分類されます。
- 可用性
- 性能・拡張性
- 運用・保守性
- 移行性
- セキュリティ
- システム環境・エコロジー
これらの要件以外にコストも要件に含まれることがあります。クラウドを利用するメリットの一つとしてオンプレミスと比べてコスト削減が可能であることが挙げられるためです。また、既存のシステムがある場合、そのシステムのインフラやミドルウェアを活かすのか活かさないのかといったことも要件に含まれます。
クラウドエンジニアは、これらの要件をもとにサーバーの台数やネットワーク構成などを決め、利用が想定されるリソースを定義し、クラウドサービスを選択します。場合によっては、要件を満たすために、クラウドだけではなくオンプレミスのインフラも利用することを検討するでしょう。また、運用方法や既存システムのクラウドへの移行手順も定めます。
構築
構築フェーズでは、設計をもとにクラウドの設定を行います。クラウドの設定はサービスによって異なります。たとえば、AWSでEC2の仮想サーバーを起動するには、おもに以下のような項目を設定するでしょう。
- ユーザー権限
- ネットワーク
- ルートデバイスタイプ
- インスタンスタイプ
- ストレージ
- バックアップ・リカバリー
- ロケーション
構築フェーズでは、これらのような設定を正確に行う必要があります。設計通りに設定が行われているかテストも行います。
運用
運用フェーズでは、実際にクラウドを利用しているシステムを安定して稼働させるための対策を行います。クラウドエンジニアは、システム障害や要件変更などに対応するのです。システム障害が起きたら、まず、問題がインフラにあるのかアプリケーションにあるのかを判定します。インフラに問題がある場合、それはクラウドサービス提供者側の問題なのか、クラウドの設定の問題なのか切り分け、いずれのケースにおいてもクラウドエンジニアが問題に対応します。
また、変更されうる要件には、要求されるスペック、アクセス制限などのセキュリティ要件、OSやデータベースのバージョンなどがあるでしょう。クラウドエンジニアは、これらのような、変化する要件に対応します。
クラウドエンジニアの需要・将来性
クラウドエンジニアの需要は安定しており、将来性があると考えられます。その理由は、クラウドの需要がこれまで安定して伸びていることです。総務省が発表した令和三年版情報通信白書によると、2020年時点でクラウドサービスを利用している企業の割合は68.7%となっています。過去の情報通信白書を遡ると、企業のクラウドサービス利用率は2019年が64.7%、2018年で58.7%となっており、クラウドサービスを利用する企業の数が着実に増えていることが分かります。
クラウドエンジニアの需要は、クラウドサービスの需要にしたがって伸びていくと考えられます。つまり、クラウドエンジニアの需要は安定して伸びており、今後も伸びることが予想できます。
クラウドエンジニアに転職するには
ここでは、クラウドエンジニアに転職するために必要なスキルと知識、あると望ましい資格をご紹介します。

必要なスキル・知識
クラウドエンジニアに転職するために必要なスキル・知識は、おもに、次の知識・スキルです。
- サーバー設定のスキル・知識
- ネットワーク構築のスキル・知識
- セキュリティ対策のスキル・知識
- クラウドを扱うスキル・知識
サーバー設定のスキル・知識
クラウドエンジニアは、IaaSなどのクラウド上に仮想サーバーを構築する場合があります。そのため、クラウドエンジニアにはサーバーの知識が求められます。サーバーの構築が不要なPaaSなどであっても、クラウドサービスを選択する際に、どのような設定のサーバーがインストールされているかを把握するために、サーバーの知識が必要となるでしょう。
ネットワーク構築のスキル・知識
クラウドかオンプレミスかに関わらず、システムを構築するにあたってはネットワークの設定が必要です。とくに、クラウドサービスを複数利用する場合やクラウドとオンプレミス両方を利用する場合はネットワークを構築する必要があります。ネットワークを意識せず利用できるクラウドサービスであっても、そのサービスの通信仕様を把握すべきでしょう。そのため、クラウドエンジニアにはネットワーク構築のスキル・知識が求められます。
セキュリティ対策のスキル・知識
クラウドサービス提供者がセキュリティを担保する範囲は、そのクラウドサービスがPaaSであればハードウェアからミドルウェアまで、IaaSであればハードウェアからOSまでとなるでしょう。いずれにしても、クラウドエンジニアはクラウドサービス提供者がセキュリティを担保する範囲を把握し、範囲外であれば自身やチームのメンバーがセキュリティ対策を実施する必要があります。そこで、セキュリティ対策のスキル・知識が必要になります。
クラウドを扱うスキル・知識
クラウドエンジニアは、多数のクラウドサービスの中から、1つまたは複数のクラウドサービスを選択し、システムのインフラやミドルウェアを構築します。そこでは、クラウドを扱うスキルが求められます。具体的には、クラウドサービスの仕様を理解するスキルや要件に沿ったクラウドサービスを選択するスキル、設計通りにクラウドの設定を行うスキルなどが挙げられるでしょう。加えて、運用中に障害が起きたり、要件が変化したりしたときに対応できるスキルも求められます。
あると望ましい資格
クラウドエンジニアに転職するために必須の資格はありませんが、持っていると望ましい資格はあります。おもに次の資格が転職に役立つでしょう。
- AWS認定
- Microsoft Azure認定資格
- Google Cloud認定資格
- CompTIA Cloud+認定資格
AWS認定、Google Cloud認定資格、Microsoft Azure認定資格はそれぞれ、Amazon、Google、Microsoftが提供するクラウドサービスに関する資格です。CompTIA Cloud+認定資格は、ベンダーニュートラルなIT業界団体CompTIAが運営しているクラウドに関する資格です。CompTIA Cloud+認定資格以外の資格は比較的ベンダーに依存した資格になっています。そこで、どのクラウドサービスに関する資格を取得すべきかについては、自分が転職先として考えている会社がどのクラウドサービスを利用しているかに依存するでしょう。
どのクラウドサービスを利用しているか不明な場合、AWS認定を取得するのが無難といえます。それは、AWSのシェアが国内・世界において第1位であるためです。AWSを利用している企業が多いため、AWS認定を持っておくと、クラウドエンジニアとして評価されやすいでしょう。
まとめ
クラウドを利用して、システムのインフラやミドルウェアを設計・構築・運用することが、クラウドエンジニアの主な仕事内容です。クラウドエンジニアになるためには、サーバーやネットワーク、セキュリティ、クラウドといった幅広いスキルと知識が求められます。転職する難易度は決して低くはありませんが、近年クラウドの需要が伸びていることから、クラウドエンジニアの将来性は高いと考えられます。将来性のあるクラウドエンジニアに転職することを考えてみてはいかがでしょうか。
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