
エンジニアとして働く場合、その就業形態はいくつかの選択肢があります。正社員として企業に所属して働くケース、派遣社員や契約社員として働くケースもその形の一つです。
また、近年ではフリーランスとして働くエンジニアも増えてきています。フリーランスエンジニアとして働くことには多数のメリットがあるためです。
今回は、フリーランスエンジニアのメリットとデメリット、フリーランスとして働くために必要なスキルや知識、経験についてご紹介します。独立を検討しているエンジニアの方は、ぜひ参考にしてください。
フリーランスエンジニアとは
まず「フリーランスエンジニア」という言葉についてですが、特別に定義があるわけではありません。一般的には企業に所属していないエンジニアのことをフリーランスエンジニアと呼びます。日本の就業形態の中では自営業者にあたります。
エンジニアは技術職です。スキルの高いエンジニアは企業に属していなくても需要が存在しています。働き方の多様化の中で、フリーランスエンジニアという形態が選択肢として選ばれやすくなってきているのです。
フリーランスエンジニアのメリット
フリーランスエンジニアには会社員として働く場合にはないメリットが存在します。
仕事を選ぶことができる
会社員のエンジニアの場合、組織からの指示で仕事が決まりますが、フリーランスエンジニアは自分で望む仕事を選択することが出来ます。自己の成長に繋がらない仕事であれば、断る権利があるのです。
ただし、案件を自由に選ぶことができるのは、スキルの高い人気のあるエンジニアに限られます。
高収入を得ることが可能
自分で仕事を選ぶことが出来るため、待遇面でも仕事を選択することが出来ます。複数の選択肢が提示されている状況ならば、高い収入の仕事を選ぶことが可能です。自分のスキルを最大限に高く売ることができるのも、フリーランスの大きなメリットです。
プロジェクトごとに仕事を変えることができる
会社員であれば会社とクライアントの関係は続き、担当者として働く場合は同じクライアント向けの同じ現場の仕事が長年続くことも少なくありません。
フリーランスエンジニアも形態によって似た状況ともなりますが、少なくとも継続する/しないの選択権がエンジニア側にも存在します。同じクライアントとの仕事を続けることによるスキルの偏りを防ぐことが可能です。
会社組織のしがらみに従う必要がない
会社員の場合、クライアントとのパワーバランスや会社内でのスキルマッチングなどの要素により仕事の選択肢は狭まり、取りたい選択肢を選ぶことが出来ないことも多々あります。所属企業の製品との兼ね合いから、ベストと思われるソリューションでも選択肢から除外せざるを得ないこともあるでしょう。
フリーランスエンジニアは組織のしがらみがない分、エンジニアとしての思想、考え方に制約がありません。

ワークライフバランスを実現しやすい
契約先や自身の働き方次第とはなりますが、ワークライフバランスを実現しやすいこともフリーランスエンジニアのメリットの一つです。家族の介護や育児との両立がしやすくなるほか、プライベートを充実させたり、ボランティア活動や地域貢献活動に参加したりといったことも実現しやすくなります。
フリーランスエンジニアは仕事を選びやすい点が、自分のワークライフバランスと一致する仕事を見つけやすいこととつながっています。在宅(テレワーク)でもできる仕事も存在しており、少なくとも会社員であるよりは選択の機会が増えます。
フリーランスエンジニアのデメリット
会社員ではなくフリーランスのエンジニアという形態をとることには、デメリットも存在します。すべてのエンジニアがフリーランスになればメリットを享受できるかというと、残念ながらデメリットが勝るケースもあります。
自分で営業活動をして、仕事を確保する必要がある
フリーランスのエンジニアは、営業して契約を取る、仕事に対して収入や支出の管理を行うといった業務を自分でこなさなければなりません。しかしながら、技術者として優秀でも、営業や経理の業務が得意とは限りません。
ただし、この点については各種のサービス、ツールを活用することによりある程度スキルの補填が可能です。案件を紹介してくれるエージェントを利用する、会計ソフトを利用する等で業務を効率化することが出来ます。
会社員向けの社会保障は利用できない
フリーランスエンジニアは会社員のエンジニアが福利厚生として利用する健康保険組合、社会保険を利用することが出来ません。国民健康保険や厚生年金といった自営業者向けの社会保障を利用することになります。
フリーランス向けの保険サービスなども登場しており、以前よりは柔軟に対応することが可能になりつつあります。
フリーランスエンジニアになるには
フリーランスになる前に準備しておくべきこと
会社員のエンジニアからフリーランスエンジニアへの転身をする場合、会社に所属している間に下記の準備をしておきましょう。特にクレジットカードや銀行口座の作成、医療保険等への加入は会社員として身分が保証されている状況の方が実施しやすいです。
- クレジットカード、銀行口座の作成
- 医療保険等への加入
- 開業届の準備
- 健康保険、年金の手続き
- 自前の開発環境、作業場所
- スキルを示す資料(スキルチェックシートやポートフォリオとなるWebサイトなど)
- コネクション作り
必要なスキル・知識
フリーランスエンジニアとなるには、技術的な知識はもとより事業を行うための知識も必要となってきます。
開発業務への従事経験
システム開発プロジェクトに参画し、その工程や仕事の進め方を知っておく必要があります。
自己学習スキル
フリーランスエンジニアは自分自身で技術スキルを伸ばしていく必要があるため、自己学習スキルが必要です。
事業運営のための知識
事業を行うのに必要な営業活動、取引の形態、契約の手続き、経理などの知識も、フリーランスには必要です。
あると望ましい経験や資格
フリーランスエンジニアとして働く場合、案件ごとに契約を行っていく形態となります。下記の経験がある、資格などを持っていると仕事を途切れさせずに働くことに繋がってきます。
上流工程の従事経験
要件定義や基本設計といった上流工程への従事経験があれば、契約可能な仕事の幅を広げることができます。
プロジェクトマネジメントスキル
フリーランスエンジニアとして活躍する場合、開発者としてのプロジェクトへの参画だけでなく、プロジェクトマネジメントにも関わるポジションでの仕事もできると有利です。
また、開発者としても自分の仕事のスケジュール、成果物の管理は必須となります。
各種エンジニア関連資格
各種の案件へ参画する際には、アサイン時にスキルを示すことで採用される可能性を上げることが出来ます。
プロジェクトマネジメントスキルならばPMPやIPAのプロジェクトマネージャ試験、開発者としてのスキルの場合にはIPAの情報技術者試験や各種のベンダー試験・資格を持つことで、第三者から一定のスキルを保証してもらうことが可能です。
フリーランスエンジニアが案件を獲得する方法
コネクションを持ち、そこから紹介してもらう
コネクションというと大げさに感じるかもしれませんが、人付き合い、人間関係と言い換えれば自然に感じるでしょう。フリーランスエンジニアにとっては、会社員時代の繋がりや生活圏での繋がり、趣味や技術者間のサークル、ネット上での関係などあらゆる人脈が仕事とつながってきます。
また、見知った関係性の人間から受ける仕事では、ある程度危険な案件を避けることができる点も重要です。信頼関係が構築されていれば、あまり無茶な仕事は回ってきません。会社員時代に可能な限りコネクションを広げておくと良いです。
直接営業をかける
エンジニアを募集している企業や必要としていそうな企業に対して、直接的に交渉を行う方法です。企業の事情を知ることやスキルマッチングは必要ですが、仕事を選べるメリットを最大限利用することができる方法でもあります。
ただし、適切な契約に持ち込むにはある程度の営業スキルが必要です。

エージェントサービスを利用する
仕事をもらえそうなコネクションや直接営業するスキルが無くとも、フリーランスエンジニアとして活躍できる方法があります。それは、エンジニアを必要とする企業とITエンジニアを結びつけるエージェントサービスを利用することです。
フリーランスエンジニア向けの求人情報から案件を探すほか、エージェントに希望の職種、条件を相談し、案件の紹介を受けることもできます。