IT業界での慢性的なITエンジニア不足から、フリーランスエンジニアへの業務委託や派遣社員などを取り入れた人材戦略を採用する企業が増えています。以前、「ITスキルを活かしてフリーランスで働く5つのメリット」の記事でもご紹介したように、ITエンジニアとして働くことで多くのメリットを得ることができます。
一方で、様々な理由から正社員からフリーランスへの転向に不安を持つ方も少なくはなく、実際にフリーランスとして働くITエンジニアの体験談などのリアルな声を聞きたいと思う方も少なくありません。今回は、当社Computer Futuresのコントラクトチームにてシニア・コンサルタントとして、長年にわたり直接フリーランスエンジニアと関わってきた岩田和彦に詳しく話を聞きました。
懸念点1: 収入が安定しにくい
フリーランスへの転向を考えた際、一番の懸念点として収入面を挙げる方が多いのではないでしょうか?「『安定』の定義を長期的な安定性として捉えた場合、フリーランスとして働くことで、むしろ年間の収入を上げることが可能となります。これはインセンティブ制度などがない限り正社員では非常に難しいことです」と岩田は話します。「フリーランスエンジニアの中には仕事を掛け持ちしている方も少なくなく、例えば一度に2・3つの案件を並行して行う人も多く見られます。自分のスキル次第では単価を上げることも可能で、正社員時代と比較して1.5~2倍の収入増加が叶ったというケースを多々見てきました」。
実際に、フリーランス白書2020では、調査における最も高い年収層(年収800万円以上)におけるエンジニアや技術開発に携わる方々の割合は30%近く、すべての業種の中で最も高い割合となっています。また、業種に関わらず会社員から独立した方々の7割近くが収入は依然と同じ水準か以前よりも増えたと回答しています。
フリーランスとして働くことで、収入の上限を弊社でも、高いスキルと経験を活かすことで同様の仕事をこなす会社員よりはるかに高い給与水準でお仕事をされている個人事業主の方のサポートを行っております。皆様がお持ちのスキルや経験にフィットする案件をお探しの場合は、こちらからお気軽にご相談ください。

こちらの記事では、フリーランスエンジニアの11種類とそれぞれの平均年収、言語別単価をご紹介しています。
記事を読む懸念点2: 信用度が落ちる
フリーランスエンジニアへ転向した場合、正社員時代と比べ信用度が落ちることから、クレジットカードや住宅ローンを組みづらくなることを懸念される方もいるかもしれません。
「例えば、フリーランスへの転向直後では、クレジットカードの作成時とローンを組む際に影響を受けることが予想されます。一方で、フリーランスとして数年の実績を積み、コンスタントに収入を得ている場合の影響はあまり考えられません」と岩田は述べます。しっかりとライフプランの見直しを行い、クレジットカードの作成やローンの申請予定がある直前に正社員からフリーランスへ転向することを避ける、フリーランスへの転向前にこれらの手続きを行うなどといった計画性のあるフリーランスへの転向が求められます。
懸念点3: 新規案件獲得が一苦労・案件継続には成果が必要
フリーランスエンジニアは、自分で営業活動を行い案件を獲得しなければなりません。これをプロジェクトの節目ごとに継続して行う必要があるため、営業経験のない方の中には、フリーランスへ転向することに不安を覚える方も多く見られます。ただ、実際には、フリーランスエンジニアの中には、元々の繋がりから案件を獲得するケースが多く見られます。「フリーランス転向後に一度お世話になった取引先から、プロジェクト終了後数年経ち、お声がかかったというフリーランスエンジニアも見てきました」と岩田は述べます。
案件継続に成果が必要なことは事実で、プロジェクト内で成果を出すことで、新規案件の獲得も容易になることが見込めます。ただ、案件によって必要なスキルや経験も異なりますし、自分の得意な分野での案件を受注することでその分野でのスキルアップかつ、よりスムーズな案件獲得が可能となります。
懸念点4:確定申告が面倒くさい
今まで会社が行ってくれていた確定申告を、フリーランスエンジニアは自分で行う必要があります。「確定申告は確かに手間がかかる作業ではありますが、個人的には、確定申告により習得することのできる税金や経費などに関する知識は、長い目で見た際に非常に価値のあるものになると考えています。」と岩田は述べます。確定申告に必要な税金や経費に関する知識を身につけることで、仕事だけでなくプライベートでも、より効率的に節約できるなどといったメリットを得ることができるでしょう。また、弥生やfreeeなどの会計ソフトを活用することで、経理や会計の深い専門知識がなくとも確定申告の負担を軽減することができます。
その他にも、当社では近年人気が高まっているECM(雇用コントラクターモデル)という制度でのコントラクト採用と転職のサポートを行っており、この制度では、候補者の方は派遣社員と同様にエージェントである当社(Computer Futures、法人名としてはSThree株式会社)の社員として、クライアント企業先に出向する形となるため、確定申告が不要となります。

ECMについての詳細は、こちらの記事よりご確認いただけます。
記事を読む懸念点5: スキルアップが難しい
フリーランスエンジニアとして働く場合、自分が担当したことのない案件の獲得は難しく、そのためにスキルアップの機会が得られないのではないかと感じる方もいるかもしれません。一方で、主な業務や事態は同じものの、案件ごとに使うデバイスやツールなどの細かい部分での違いが見られることも予想され、新たな経験を積むことが可能です。
また、フリーランスエンジニアに転向するメリットの一つとして、会社の方針に従う必要がないということが挙げられます。「会社員として働く際には、自分の担当する業務以外のこともしなくてはならない場面があるかと思います。自分の担当外の業務を頼まれる、行きたくない会社の集まりに参加するなどといったことが、フリーランスエンジニアとして働く際には起こりにくく、代わりに自分の時間を確保しやすくなります。これらの隙間時間をスキルアップのための勉強時間に充てることも可能です」と岩田は話します。
懸念点6: 休日を返上して仕事することも?
「まず前提として、正社員とフリーランスの働き方の違いを理解する必要があります」と岩田は述べます。正社員時代では当たり前であった一日8時間の週5日勤務はフリーランスには適用せず、そもそも土日を休日として設定する必要もありません、また、ほとんどの場合オフィスに出勤する必要もなく、郊外に移住する方も多く見られます。このことで、生活費の節約や生産性の向上などといったメリットも期待できます。
フリーランスエンジニアへの転向を成功させるためのコツとは?
前述の通り、正社員とは働き方が全く異なるフリーランスエンジニア。自由な働き方である分新たな責任も生じますし、「フリーランスとして働くことに興味はあるけれど、実際に何から始めればよいのか分からない」といった悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
フリーランスエンジニアとしてのキャリアを始める前にまずするべきこととしては、以下が挙げられます。
フリーランス転向前にすべきこと6つ
- キャリアプラン・ビジネスプランを明確にする
- 事務用口座の開設
- 会計ソフトの導入
- ウェブサイトや事業用アドレスの作成
- 職務履歴書やLinkedInプロフィールの作成
- 契約書や請求書などの雛型の作成

IT業界でフリーランスとしてのキャリアを始める前にするべきこれらの準備事項や、実際にフリーランスになった後にするべきこと、そして最適な独立のタイミングについて、こちらの記事で詳しく解説しています。
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