
悪質なマルウェアが頻発し、情報漏洩などのセキュリティ事故のケースが増加している昨今では、マルウェア解析の専門家に対する需要が高まっています。特にセキュリティベンダー(セキュリティ対策のための製品やサービスを提供する企業)では、不可欠な技術者として非常に高いニーズを保っています。
今回は、マルウェア解析に関わる職種や必要なスキルや経験、マルウェア解析関連の資格について詳しく解説します。
目次
- マルウェア解析とは
- マルウェア解析のスペシャリスト「マルウェアアナリスト」とは?
- マルウェアアナリストになるには
- マルウェアアナリストに必要なスキル
- マルウェア解析関連の資格
- マルウェアアナリストの年収
- マルウェアアナリストの将来性
以下の記事では、サイバーセキュリティ領域における採用動向や、業界での経験なしでもサイバーセキュリティ業界への転職を成功させるために必要なスキルについて、詳しく解説しています。

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記事を読むマルウェア解析とは
マルウェア解析とは、コンピューターシステムやネットワークに不正かつ有害な動作をさせることを目的として作られた悪意あるソフトウェアやコードである「マルウェア」の性質や動作を分析することを指します。
マルウェア解析は一般的に以下の3つのカテゴリに分類されます。
- 表層解析
- 動的解析
- リバース・エンジニアリング
表層解析では、マルウェアの表面的な特徴(ファイル名、ファイル種別、ハッシュ値)などから危険性を解析します。そして、動的解析では、実際にマルウェアを動作させてみて挙動を確認し、静的解析によりプログラムのコードを解析して危険性があるものかどうか解析することになります。
マルウェア解析のスペシャリスト「マルウェアアナリスト」とは?
マルウェア解析に関わる職種は様々な職種名で求人が掲載されていますが、最も一般的な呼び方として「マルウェアアナリスト」や「マルウェア解析技術者」というものがあります(ここではマルウェアアナリストと呼びます)。マルウェアアナリストとは、その名の通りマルウェアをはじめ、ログやセキュリティ事象を解析する専門家です。前述の表層解析、動的解析、リバース・エンジニアリングの3つのステップを踏み、不審なプログラムやファイルの解析を行います。
近年では特定の企業をターゲットとする複雑な仕組みを持つマルウェアが使用されることも多く、ウイルス対策ソフトではこれらのマルウェアの検知はほぼ不可能です。実際にマルウェアを動作させるのはリスクが伴うものの、動作させて解析をする必要があるため、マルウェアアナリストのような専門的な知識と経験を持った人材が重宝されています。
マルウェアアナリストになるには
マルウェアアナリストは非常に高度な技術や知識が求められるため、まずはセキュリティに関するある程度テクニカルな知識とスキルを身に付けることが必要です。そのため、マルウェアアナリストになるために最も一般的なキャリアパスとしては以下のようなものとなっています。
- セキュリティエンジニアからのステップアップ
- プログラマーからの転向
セキュリティ領域での経験やスキルがまだ足りない場合には、まずはセキュリティエンジニア、もしくはプログラマーとしてスキルアップを目指すことが近道となります。また、オンラインコースやスクールに通う、資格を取得するなどの独学によりスキルと知識の底上げを狙うことも一つの手です。
マルウェアアナリストに必要なスキル
マルウェアアナリストに必要なスキルとしては、以下が挙げられます。
- 様々な攻撃のパターンを考えるための創造力と仮説を立てる能力
- 細かいことに気が付くための注意力
- マルウェアの脅威を洗い出すスキル
- 洞察力
マルウェア解析では、企業のコンサルティングと解析を通して、現在の企業のネットワーク環境のどこに脆弱性があるかを特定し、攻撃者の見えない意図や、どのように攻撃を実行したのかを見つけ出す必要があります。そのため、どのような不正なデータ(パケット)も見逃さない注意力や、様々な攻撃のパターンを考えた上で仮説を立てながら、安全なネットワークの構築を行うためのスキルや洞察力が求められます。また、次々と変わるマルウェア攻撃の仕組みや工夫に対応するため、向上心を持ちながら最新の情報収集や日々の勉強を続けられる人に適性があると言えます。
マルウェア解析関連の資格
マルウェアアナリストになるために必須の資格はありません。ただ、高度な技術や知識、専門性を持ったマルウェアアナリストになるために資格を取得し、体系的な知識を身に付けることもおすすめです。
以下、マルウェア解析に関連した資格をご紹介します。
GIAC認定試験
GIAC認定試験は、セキュリティ監査、侵入検知、インシデント・ハンドリング、フォレンジック、ファイアウォール、Windows OS、Unit/Linux OSなどの、情報セキュリティにおける入門レベルから高度な専門性を必要とされる分野まで全てをカバーしている試験です。セキュリティ関連では最難関の資格と言われており、資格を取得することでサイバーセキュリティに関する相談に対してアドバイスを与えられることに加え、現状の調査や分析ができる高度な知識とスキルを持ち合わせていることを証明できます。
公式サイト:https://www.sans-japan.jp/giac
認定ホワイトハッカー(Certified Ethical Hacker)
認定ホワイトハッカーは、ホワイトハッカーとしての知識とスキルを持ち合わせていることを証明する、EC Council認定の国際的なセキュリティ試験です。こちらは英語での試験となり、試験に関する日本語の情報も依然として限られているため、難易度は高いと言えます。しかし、非常に信頼性の高い資格として国際的に認められているため、外資系企業への転職をお考えの場合有利に働くことも期待できます。
公式サイト:https://www.gsx.co.jp/
マルウェアアナリストの年収
マルウェアアナリストは、非常に高度で専門的な知識と技術が必要となるため、年収も一般的なITエンジニアよりも高い傾向にあります。マルウェアアナリストの平均年収は450~750万円となっており、案件によっては1000万円を超えるケースも見られます。
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マルウェアアナリストの将来性
マルウェア攻撃は今後も増え続けることが予想されています。では、2022年第四半期において日本は世界で2番目に多く攻撃を受けていたことが明らかになりました。今までの対処療法的な情報セキュリティモデルではなく、AIを活用したモデルなどの新たなセキュリティ対策の構築が急務となっています。このような現状から、マルウェアアナリストを中心としたセキュリティ人材へのニーズは、今後ますます高まっていくことが予想されています。
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