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サイバー攻撃によるリスクが年々高まる中、ホワイトハッカーという職種が注目を集めています。ホワイトハッカーになるためにはITに関する知識と技術が必須ですが、ある程度のIT知識を既に持っている場合、業界・職種未経験でも転職することが可能です。

今回は「ホワイトハッカーとはどのような仕事なのか?」「業界未経験からホワイトハッカーになるには?」という疑問を持つ方に向けて、ホワイトハッカーに関する基本情報と、未経験からホワイトハッカーになるために必要な資格やスキルについて詳しく解説します。

以下の記事では、ホワイトハッカー(ペンテスター)を含めた、サイバーセキュリティ業界でテクニカルな職種5つとその仕事内容、キャリア形成のために必要なスキルや知識、そしてサイバーセキュリティ業界内でのおすすめのキャリアの歩み方について解説しています。

 

 

Cyber Security

サイバーセキュリティ業界におけるキャリアの歩み方【5つの職種と必要なスキルも徹底解説】

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ホワイトハッカーとは

ハッカーというと一般的にはハッキングの知識や技術を用いてサイバー攻撃などの犯罪行為を行う人を思い浮かべますが、目的によって「ブラックハッカー」と「ホワイトハッカー」に分けることができます。上述のようにITに関する技術や知識を悪用するハッカーをブラックハッカーと呼ぶ一方で、ITに関する技術や知識を正義のために利用するハッカーはホワイトハッカーと呼ばれます。職種や肩書としてはペンテスターもしくはペネトレーション・テスターとも呼ばれます。ホワイトハッカーは個人や企業のコンピューターへの不正侵入や個人情報や機密情報の盗難を行うブラックハッカーに対し、脅威を食い止めるための役割を果たします。

ホワイトハッカーの仕事内容

ホワイトハッカー(ペンテスター)の具体的な仕事内容としては、クライアント企業のセキュリティシステムの企画、プログラムの実装、システムの運用とセキュリティの教育が挙げられます。

 

セキュリティシステムの企画・提案

セキュリティシステムの導入を行うクライアント企業に対して、、ホワイトハッカーは現状のシステムにおける脆弱性の診断やウイルス感染の有無、そして不正なプログラムが埋め込まれていないか等を確認します。この調査段階で発見したセキュリティ問題を報告書にまとめ、具体的な指摘と指針を立ててクライアントに報告します。

この段階では、専門的な知識を持たないクライアントに対して報告することが前提となるため、セキュリティに関する複雑な話をかみ砕いて説明するための幅広い知識と、コミュニケーション能力が求められます。

 

② プログラムの実装

上記の段階で作成したセキュリティ強化のための報告書に基づき、ネットワーク機器や各種OSの設定、プログラミングの全てをセキュリティに配慮して設計していきます。様々な攻撃やトラブルを想定し、セキュリティの高いシステムの実装が求められます。

 

③ システムの運用と保守

セキュリティシステムを導入した後の運用と保守もホワイトハッカーの大切な役割の一つです。システム障害やサイバー攻撃からシステムを保護し、安全に運用をし続けるため定期的に調査を行います。また、万が一機密情報が社外に漏洩してしまった場合も、権限の設定や閲覧の制限などの制御機能を使い対策を講じます。

 

④ 企業内でのセキュリティ教育

ホワイトハッカーは、必要に応じクライアント企業の社員に対するセキュリティ教育やセミナーも行います。例えば、パスワードの使いまわしを避けるよう喚起する、コンピューターやスマートフォンの安全な利用方法や不必要なアプリ・メモリ等を使っていないかを確認してもらうなど、社員のセキュリティに関する意識向上を行うこともホワイトハッカーの大切な業務の一つです。

 

ホワイトハッカーに必要な知識・スキル

TechRepublicはホワイトハッカーに必要な知識やスキルとして、ランキング形式で以下を挙げています。

 

  • 1位:ウェブアプリケーション
  • 2位:ネットワークペンテスト
  • 3位:API評価
  • 4位:ソーシャルエンジニアリング(社会工学)
  • 5位:ソースコード解析
  • 6位:モバイル アンドロイド
  • 7位:暗号技術
  • 8位:バイナリ解析・リバースエンジニアリング(分解工学)
  • 9位:モバイル/iOSアプリケーション
  • 10位:OS/ファームウェアのテスト
  • 11位:マルウェア解析
  • 12位:IoT/組み込み機器
  • 13位:ハードウェアハッキング

 

また、クライアント企業への問題喚起や現場担当者からシステムに関する情報をヒアリングするためのコミュニケーション能力や、サイバーセキュリティに関する海外の最新情報を読解するための基本的な英語力なども求められます。

 

ホワイトハッカーに必要な資格

ホワイトハッカーになるために必須の資格は現在のところありませんが、スムーズなキャリアチェンジを実現するために資格を取得することが非常におすすめです。ここからは、ホワイトハッカーへのキャリアアップをお考えの際に特に役立つ2つの資格をご紹介します。

 

①    認定ホワイトハッカー(CEH)

認定ホワイトハッカーとはEC-Counsil認定の国際的なセキュリティ資格の一つで、CEHとも呼ばれています。サイバー攻撃の技術の基本を学び、攻撃を防御できるセキュリティ環境構築のための実践的な備えができる知識やスキルを証明するもので、国防総省でも採用されている国際的な資格です。

 

②    情報処理安全確保支援士技術者試験

情報処理安全確保支援士試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPAが運営する資格です。情報マネジメント業務や情報セキュリティ管理業務、情報システムの企画・設計・運用におけるセキュリティ確保などの高いスキルと知識が求められます。

 

その他にも、サイバーセキュリティのスキルを証明する資格として、以下が挙げられます。

 

以下の記事内では、上記の資格を含めたサイバーセキュリティ関連の2023年注目の資格について、詳しく解説しています。

 

Cyber Security Certifications 2023

【コンサルタントに聞いた】2023年おすすめセキュリティ関連資格

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ホワイトハッカーの年収

厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」の統計によると、企業のシステムやネットワークのセキュリティ対策を整備するセキュリティエキスパート(ホワイトハッカーに近い職種)の2021年における平均年収は、、558.8万円となっています。また、フリーランススタントによると、フリーランスのセキュリティエキスパートは平均年収約664万円となっており、正社員と比較して約100万円高くなることが分かります。ただし、外資系企業におけるセキュリティエキスパートの年収はより高い水準となっており、また海外におけるホワイトハッカーの年収は日本と比較して倍近くになるケースも多く、今後日本でも上昇することが見込まれます。

以下の給与ガイドでは、当社が扱う案件の給与水準に加えて、サイバーセキュリティ領域における需要の高い他の職種や、当社のクライアント企業様に向けて行った採用動向や福利厚生に関するアンケート結果もご紹介しております。宜しければ以下よりダウンロード、ご活用くださいませ。

 

CF S 2022 JA Cover

【2022年最新】IT・テクノロジー分野の給与水準ガイド

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ホワイトハッカーに関する質問

ここからはホワイトハッカーに関するよくある質問とその回答をご紹介します。

 

業界未経験でホワイトハッカーになることは可能?独学のコツは?

業界未経験でもホワイトハッカーとしてのキャリアを築くことは可能です。特に社会人として大学や専門学校などで学び直す、もしくは前述のセキュリティ関連資格などを取得することで、より転職活動の際のアピール材料となりスムーズな転職を可能にするでしょう。

おすすめの勉強法としては、市販の教材やコースを利用する以外に、海外の最新版調査ツールのソースコードを読む、自分で簡易版調査ツールを作りながらホワイトハッキングのスキルを上げる、といった方法があります。原理をきちんと理解してから実施しなければ案件で障害を起こしてしまう可能性もあるので、攻撃コードの仕組みを理解することが必要です。

 

ホワイトハッカーとバグハンターの違いは?

ホワイトハッカーとバグハンターは、脆弱性を発見する対象や方法においては共通していますが、依頼の形態に違いがあります。ホワイトハッカーが行うペネトレーションテストは企業対企業の取り組みであり、テストを担うホワイトハッカー(ペンテスター)の多くは企業に所属しています。対してバグハンターは、企業が広く一般にプログラムを公開し、不具合を見つけた人に報酬を支払う成果報酬の形式(バグバウンティ、バグ報奨金制度、脆弱性報奨金制度など呼ばれています)です。バグバウンティは、GoogleMicrosoftLINE任天堂など名だたる企業が活用しています。

 

バグバウンティについて詳しくは、以下の記事をご参照ください。

 

Bug Hunter

バグハンターとは?入門に役立つガイドと無料ツールをご紹介

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ホワイトハッカーとセキュリティエンジニアの違いは?

セキュリティエンジニアは、社内システムの設計・構築・運用・保守において、主にサーバーやネットワークなどのシステムのセキュリティ管理を専門とし、サイバー攻撃や情報インシデントを防ぐための対策、実行、問題が発生した際の調査および対処を行うエンジニアのことを示します。ホワイトハッカーとセキュリティエンジニアの定義における違いは曖昧ですが、一般的にホワイトハッカーは第三者による外部からのサイバー攻撃やハッキングを防ぐことに焦点を置いたエンジニアであるのに対し、セキュリティエンジニアは企業や組織における情報セキュリティの確保に重きを置いているという違いが挙げられます。

 

セキュリティエンジニアについて詳しくは、以下の記事をご参照ください。

 

Security Engineer

セキュリティエンジニアとは。年収、将来性など転職時に知っておきたいこと

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ホワイトハッカー|まとめ

ホワイトハッカーは、悪質なサイバー攻撃やハッキングから国や企業を守る欠かすことのできない存在です。国全体でも人材育成にも力を入れており、多くの企業で積極的な採用が行われているため、ホワイトハッカーへの転職は今が絶好のタイミングとも言えます。

Computer Futuresは日本のサイバーセキュリティ領域における多くのプロフェッショナルや業界を牽引する企業との関係を活かし、コミュニティを通じて多くのアドバイスやガイダンスなど、有益な情報を発信しております。当領域においては、セキュリティソフト開発を行う、いわゆるベンダー企業から大手コンサルティングファーム、大企業の情報セキュリティ部におけるポジションなど、様々な規模の企業様と強固な関係を築いており、皆様のご要望やご経歴に最適なキャリアチャンスをご紹介いたします。

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