
アメリカのglassdoor社が行った2021年の調査「アメリカで最高の仕事」で2位となったデータサイエンティスト。日本ではデータサイエンティストに必須であるデータ分析について学べるコースが欧米諸国に比べてまだまだ限られており、知名度があまり高くはない印象も受けますが、高い専門性があり、将来性も期待できる職種として、近年注目を浴びているIT関連の職種の一つとして挙げられます。
今回は、未経験からデータサイエンティストを目指すための具体的なステップを、「エンジニアからデータサイエンティストを目指す」「分析系の職種からデータサイエンティストを目指す」「完全な未経験からデータサイエンティストを目指す」の三つのキャリアパス別に、詳しくご紹介します。
[目次]
データサイエンティストの将来性は?
近年ではAI(人工知能)の発展により雇用の減少が予想される職種もありますが、データサイエンティストは、分析課題を設定し、業界動向ももとに解決策を導き出すという非常に複雑な業務を含んでいるため、AIでは代替されづらい職種と言えます。そのため、ビッグデータビジネスが盛んである昨今のデータサイエンティストのニーズは、今後も高い状態を維持することが見込まれます。
米国発祥のデータサイエンティストは、日本では依然人材育成の段階にあります。2013年には日本データサイエンティスト協会が設立され、データサイエンティストを学ぶことが可能な大学や大学院も増加しているなど、今後人材育成のための基盤がより強化されることが期待されます。
データサイエンティストに転職するメリット
まず初めに、データサイエンティストに転職するメリットとは何でしょうか?
データサイエンティストに転職するメリット・やりがい
- 新たなシステムを構築したり、既存のシステムを改良したりすることで、社会に貢献しているという実感が得られる
- 新しい職種であるため、自身で職種の価値や地位を構築することができる
- フレックスタイム制やリモートワーク可な場合が多い
- 平均年収が高い
- ニーズが高く、AIに代替されにくい職種であるため将来性がある
未経験からデータサイエンティストを目指すためのステップ【状況別】
未経験でデータサイエンティストへの転職をすることは簡単ではありませんが、不可能ではありません。ここからは、データサイエンティストに転職するために必要なステップを、エンジニアもしくは分析系の職種での経験をお持ちの方、そして完全な未経験から転職を目指す方のキャリアパス別に、詳しくご紹介いたします。
エンジニアから目指す場合
まず、エンジニアからデータサイエンティストを目指す場合、ITは既に持っているため、実務経験を積むことと、データサイエンティストに特に必要なAIや機械学習などの知識を深めることを意識することで、未経験でも需要を高められるでしょう。具体的には、以下のようなIT知識やスキルを身に着けておきましょう。
エンジニアから転職するためのステップ
- RやPythonなどのデータ分析に使用されるプログラミング言語を習得する
- データベース関連の知識・経験を身に着ける-SQLやオラクル、Hadoopなど
- AIや機械学習関連の知識を身に着ける
- 分析系の業務に携わる機会をつくる-例えば、Webマーケティング企業やEC企業に所属している場合、アクセス解析や顧客の行動分析を行う業務や部署へ異動することも一つの手です。
尚、データサイエンティストと似た職種にデータエンジニアがありますが、データサイエンティストは示唆出し・レポーティングまで行うビジネスコンサル寄りの職種ですが、データエンジニアはデータベースの構築などインフラ構築をメインとするエンジニア寄りの職種となります。そのため、データベース、サーバー、ネットワーク、クラウドなどのインフラ周りのスキルが必要となるデータエンジニアと異なり、データサイエンティストではモデリングや分析に必要なプログラミングのスキルが必須となります。広範なITスキルが必須となるデータエンジニアと比べ、習得しなければならないプログラミングの領域の範囲も狭い分、比較的転職しやすいとも捉えられます。
分析系の職種から目指す場合
エンジニアとしての経験は持たないものの、マーケティングやコンサルタント、分析系の職種で分析やレポーティングの経験がある場合、バックエンドではなく、ビジネスにとって必要な形でデータを見せることの出来るビジネス寄りのデータサイエンティストを目指すことが可能です。エンジニアに必要な技術的な要素よりも、課題抽出や仮設立案などのビジネス的な要素に注力し、より高い分析スキルや最新手法を理解し、データ分析スキルの向上を目指しましょう。
また、データサイエンティストは大量のデータ(ビッグデータ)を扱うため、BIツールのような分析ツールや、R、Pythonのようなプログラミング言語を使ってビッグデータを解析できるスキルを身に着ける必要もあります。
分析系の職種から転職するためのステップ
- 課題抽出や仮設立案のスキル、より高度なデータ分析のスキルを身に着ける
- 統計学の知識を身に着ける
- BIツールやR、Pythonを使ってみる
完全な未経験から目指す場合
エンジニアや分析関連の職種以外からの転職を目指す場合、転職活動を行う前にまずデータサイエンティストと関連性のある周辺職種に転職すること、そしてデータサイエンティストで重宝されるプログラミング言語を学ぶことをおすすめします。
機械学習・AI、統計学、もしくはプログラミング言語を学ぶ
データサイエンティストに最低限必要なスキルは、機械学習・AIに関する知識、統計学、そしてプログラミング言語習得が挙げられます。まずはどれか一つ自身に合った方法で基礎知識を付けていきましょう。
機械学習・AIや統計に関する知識は、データサイエンティストオンライン講座、Udemyオンラインコース、現代統計実務講座などのオンライン講座を活用することもおすすめです。
プログラミング言語に関しては、以下に代表される、AIや機械学習で重宝されるものを選択しましょう。
- Python
- R
- SQL
関連性のある職種へ転職する
年齢を問わず未経験からデータサイエンティストとして働き始めることは簡単ではありませんが、まず関連性のある職種へ転職しスキルや知識を身につけることで、データサイエンティストとして内定をより勝ち取りやすくなります。関連性のある職種として、具体的に以下のものが挙げられます。
- SE
- マーケティング職
- データアナリスト(しばしばデータサイエンティストと混同されますが、分析用のアルゴリズムの実装や予測モデルの構築に主軸を置いているデータサイエンティストとは異なり、基本的な統計学を用いたデータの収集と分析に主軸を置いているのがデータアナリストです)。
- 研究職
年齢別でデータサイエンティスト転職に求められることは異なる?
他の多くのポジションと同じように、未経験でデータサイエンティストへ転職する際に求められることは年齢層によって異なります。
20代からデータサイエンティストを目指す
現代は、20代の約30%は会社を3年以内に退職する時代となっており、データ分析を生業とするデータサイエンティストの求人でも、実務経験不問で募集しているものもたくさんあります。20代での未経験転職の際に見られるポイントとしては、ポテンシャルと主体性の二点が挙げられ、今後育成する人材として採用されるので貪欲に学ぶ姿勢、データサイエンティストとしての明確なゴールなどを持ち合わせた人材が求められています。
30代からデータサイエンティストを目指す
30代では即戦力となる人材が求められていますが、未経験でもデータサイエンティストへの転職は可能です。ただしその際にも何らかのプログラミング経験やITの基礎知識を有していることが条件となります。また、20代のデータサイエンティストと比較してより多くのステークホルダーと関わることも考えられるため、高いコミュニケーション能力も求められます。
40代からデータサイエンティストを目指す
40代のデータサイエンティストには、専門性やPMとして活躍できるかどうかが採用の際の大きな条件となります。未経験でのデータサイエンティストの募集は非常に少ないため、募集がある場合でもPM/PMOなどのマネジメントポジションがほとんどとなっています。
未経験でのデータサイエンティストへの転職をお考えですか?
自分のスキルや経験でデータサイエンティストへの転職が可能かどうか分からない、どのようアプローチでデータサイエンティストへの転職を目指すべきか知りたい、など、データサイエンティストへの転職についてアドバイスをお望みの方は、まず転職エージェントや転職サイトに登録してみることをおすすめします。Computer Futuresでも、業界に精通したコンサルタントが、ご自身のキャリアパスや市場動向をもとにアドバイスさせていただきます。以下のフォームよりお気軽にお問合せくださいませ。