
近年フィンテック業界が盛り上がりを見せている中、多くの金融機関のエグゼクティブが銀行や資産運用会社を離れ、フィンテック関連のスタートアップでのキャリア形成に挑戦し始めています。そこで今回は、起業家、ヘッドハンティング会社、投資家、そしてすでに転職を経験した方が考える、フィンテック業界における5つの必須スキルをご紹介します。

こちらの記事では、フィンテックのスタートアップやベンチャー企業への転職をお考えの方に向けて、フィンテックの各分野における主要スタートアップ・ベンチャー企業について解説しております。
記事を読むフィンテック業界への転職を成功させるために必要なスキル5選
1. 金融規制に関する知識と対応力
金融業界における規制は非常に厳しく、これは大手のメジャーな金融会社にも、最新テクノロジーを駆使した新しい企業にも影響を与えます。そのため、銀行や資産運用会社で働いた経験のあるエグゼクティブがフィンテックのスタートアップ企業にもたらすことのできるスキルの一つとして、規制がどう企業のビジネスモデルに影響を与えるかについての知見が挙げられます。
ロンドンに拠点を置くStartupbootcamp FinTechの取締役であるLiz Lumley氏は、「多くのフィンテック・スタートアップ企業は、金融規制が自社のビジネスモデルに与える影響を過小評価しています。もしその知見のある人が現れれば、膨大な時間と労力、さらにはお金を節約することができるでしょう」と述べています。
2. データを集め、分析できる能力
バイサイド(金融商品を購入する側)でもセルサイド(金融商品を販売する側)でも、ビジネス上の意思決定のためにデータを収集・分析できるスキルは非常に重要です。これは単純な金融商品の取引においても、CFOへ向けた合併に関するアドバイスやIPOへ向けた投資家への売り込みにおいても、もしくは年金受託者との資産配分に関する手続きにおいても当てはまります。
このデータを活用できるスキルは、フィンテックのスタートアップ企業にとっても非常に重宝されます。インボイスファイナンスのスタートアップ企業MarketFinanceの共同設立者兼CEOのAnil Stocker氏は、「抽象的な問題を、データを用いて解決するのが好きな人」を求めていると話します。また、Anti氏は「多くのフィンテック企業は設立して間もないケースが多いため、製品の設計やマーケティングの方法については、まだまだ課題が多くみられます。直感に従って試行錯誤した場合においてもある程度は解決できますが、成功している企業はデータを効果的に活用していることが多いです」とも述べています。
3. 業界の文化を熟知していること
多くのフィンテック企業は、革新的な金融サービスのあり方と提供のし方を模索していますが既存の企業との関わりや交流も必要です。業界の文化を理解している人は、金融機関とのやり取りの経験が少ないフィンテック・スタートアップにとって貴重な財産になると、起業家やヘッドハンターが述べています。
フィンテック・エンジェル投資家ネットワーク「Fintech Circle」の創設者であり最高経営責任者であるSusanne Chishti氏は、プレイヤーと金融のエコシステムを理解すること、つまりどのステークホルダーが金融サービスを創造する際のどの段階でどう関わってくるのか、そして彼ら間の関係性についてよく理解することが重要であると述べています。
また、銀行に頼っている企業ではなく銀行やその他の金融企業に技術を提供しているフィンテック企業にとって、このような文化的認識は特に魅力的なスキルであると、同氏は語っています。StartupbootcampのLumley氏は、「知的な方法で徹底的にこれらの領域をナビゲートできる人材は非常に貴重です」と述べています。
また、クラウドファンディング・プラットフォーム「Abundance」の共同設立者兼取締役で、UBSのエクイティ・キャピタル・マーケット担当だったルイーズ・ウィルソン氏は、業界に強い人脈があることも大きなプラスになると指摘しています。
4. リーダーシップ
ベンチャーキャピタルから多額の資金を調達する企業の数が増加しているため、近年多くのフィンテック・スタートアップ企業が事業や人員を急速に拡大し続けています。そのためヘッドハンティング会社は、大きな組織を運営し、数百人のスタッフを管理した経験のあるエグゼクティブが非常に重宝されると言います。
多くのフィンテック関連の人材紹介会社は、これらのフィンテック企業の一部が成長段階に達したとき、熟練したビジネスリーダーシップが必要とされ始めると述べています。これは、規模を拡大することのできるポテンシャルを持つ企業において、最高経営責任者が会社の代弁者として対外的な活動に焦点を当てている間会社の運営をリードする、一種のCOO(最高執行責任者)的存在とも言えます。
そして、これは銀行側から見た事業責任者のような立ち位置になり得るとも言え、一例としては、銀行の債券トレーディング部門の責任者が、住宅ローンのピアツーピア・レンディングを行う新興企業に入社するというケースが該当します。
5. 専門的な知識
古い格言にもあるように、何事も経験に代わるものはありません。そして、金融の分野においては、デジタルイノベーターが活躍しています。例えば、融資を求める企業と機関投資家や個人投資家を結びつけるサービスを提供するFunding Circle、フランスのパリに拠点を持ち、株式調査のオンラインマーケットプレイスを展開するAlphametry、銀行のセールストレーダーに代わりマッチした債券を見つけオーダーのするAlgomiなどのフィンテック・スタートアップ企業などがその一例です。
キャピタルマーケット、セールストレーディング、投資アドバイスなど、どのようなスキルセットであってもそれを求めるフィンテック・スタートアップがある可能性は高く、大手銀行のデスクで15年の経験を持つ方が、成長中のB2B送金関連のフィンテック企業で重宝されるなどといったケースも考えられます。
Fintech CircleのChishti氏は、最も価値のあるとされるトランスファラブルスキルの1つとして、「商品がどのように機能し、どのようにパッケージ化され、どのように販売されるのかを真に理解する」能力を挙げています。
フィンテック転職 スキル ― まとめ
フィンテック業界は、IT業界の中でも今後成長が期待できる領域です。この業界に携わりたい方、非IT業界から転職を考えている方にもおすすめの業界ですので、現在迷われている方は是非この機会に転職エージェンシーに相談してみることをおすすめします。
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