フィンテック 日本

ここ数年でのフィンテック分野の成長には目を見張るものがあり、2022年6月現在世界のユニコーン企業(起業10年以内で評価額が約 1,158億円を超える未上場のベンチャー企業)と認定された企業のうち約3分の1がフィンテック企業となっています。2022年5月にも、Opn(旧Synqa)が日本国内におけるフィンテック企業5社目となるユニコーン企業入りを果たしたことが報じられ、今後も日本国内におけるフィンテック業界の勢いは変わらず、新たなユニコーン企業の誕生や、成熟期に入るフィンテック企業の出現が期待されます。

今回は、フィンテックの活用例と求人需要について、5つの先端技術別にご紹介します。また、日本においてフィンテック市場拡大のために直面している課題、そしてフィンテック業界が転職先として注目されている理由について解説します。

 

目次

  1. フィンテック領域における5つの先端IT技術
  2. IoT
  3. AI
  4. ビッグデータ
  5. ブロックチェーン
  6. 生体認証
  7. 日本におけるフィンテック市場の課題とは
  8. 転職先としてフィンテック業界が注目されている理由

 

フィンテック領域における5つの先端IT技術

フィンテック領域における主なIT技術には、以下が挙げられます。

  • IoT
  • AI
  • ビッグデータ
  • ブロックチェーン
  • 生体認証

 

以下、各技術とそれらに対する現在の求人需要に関して、詳しく解説していきます。

 

①     IoT

IoTとは「Internet of Things」の略語で、「もののインターネット」とも呼ばれています。かつてはインターネットで接続することができるものはパソコンのみでしたが、技術の発展によりスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスでも接続可能になりました。電化製品や自動車などもIoTの技術によりインターネットへの接続が可能となっています。

例えば、西京銀行の提供する「GPS装置付きマイカーローン」では、GMS社が提供するエンジン遠隔制御サービスを活用することで、自動車ローン返済促進のプロセスを自動化し、銀行業務の簡略化に成功しています。

 

IoT技術に関する求人

IDC Japanの「国内IoT市場 産業分野別予測、2021年~2025年」によると、国内IoTは2025年に10兆1902億円に達すると予想されており、IoT技術を持った人材への需要もより一層高まることが考えられます。IoT技術を扱うIoTエンジニアは、プログラミングやネットワークの構築を行うことからIT業界で活躍するエンジニアであるとのイメージを持っている方も多いかと思いますが、実際にはIT業界だけでなく、医療業界(遠くの場所にいる患者の様態を管理できる遠隔医療サービスなど)や、自動車業界・物流業界(データをもとに自動車を抑制する自動運転サービスなど)をはじめとした非常に多岐にわたる業界において人材が求められている職種でもあります。

人の命を守る仕事に関わりたいというエンジニアの方にとって、医療業界でIoTエンジニアとして活躍するといった仕事の選択肢が多くなることも、IoTエンジニアの魅力の一つとも言えるでしょう。また、Apple Watchの決済対応などでもIoT技術が使われており、今後金融業界においてもIoTエンジニアの求人が増加する可能性が見込まれています。

 

②     AI

コンピューターにより認識・推論する能力を可能にするテクノロジーを、AI(人工知能)と言います。AI金融市場の予測、検索エンジン、ロボットや、機械学習(カメラの顔認識、ECサイトのレコメンド機能、スパムメールのフィルター機能など)があり、日々の生活における様々な場面でのAIの導入が進んでいます。

AIを活用したフィンテックアプリも数多くみられ、例えばRevolutなどの銀行系アプリでは、AIを使いユーザーの財務の分析を行うことで、ユーザーの支出と収入や、貯蓄目標、毎月の請求書の比較を可能にしています。また、現在急成長が見られるフィンテックアプリケーションの一つにCleoがあります。このアプリではAIを用いて導き出した財務的な洞察を、チャットを介しユーザーへ伝える、次世代のフィナンシャルアドバイザーのような役割を果たしています。

ビジネスにおいても、意思決定の際にAIを用いたフィンテックが活用されています。ビッグデータとMLを利用した顧客行動の予測モデルを開発することができる点は、AIが持つ強みの一つで、フィンテックの営業担当者やマーケッター、保険技術のアンダーライターにより、予測モデルのためのデータ分析の際に重宝されています。例えば、保険会社では、この技術を使い申込者の保険契約や保険料を調整することができます。賃金業者では、MLを利用したデータ分析はローンリスクの予測や評価をより正確かつ迅速に行うことができ、銀行部門の営業やマーケティングでは、AIを使用した分析にもとづき、よりターゲットを絞ったキャンペーンや商品開発のための商品傾向モデルの作成を行っています。従来は人間のデータアナリストによってこれらのデータ分析がなされてきましたが、AIにより、過去の消費者の行動に関する大量な行動データをより素早く正確に分析することが可能となっています。

 

AIエンジニアに関する求人

AIエンジニアを必要とするAI領域の中で、機械学習分野は2020年以降ますます盛り上がっていくことが期待でき、将来性が非常に高いと言えます。経済産業省が2018年に行った「IT人材需要に関する調査」によると、2030年には14. 5万人の需給ギャップが生じると言われています。また、AIエンジニアは給与レンジが高い大企業で募集されていることが多いため、高年収の傾向にあります。

 

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③    ビッグデータ

ビッグデータは、データの量(Volume)、データの種類(Variety)、データの発生頻度・更新頻度(Velocity)の3つのVから成っており、従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群のことを指します。ビッグデータがフィンテック領域で活用されている例としては、経済指数や株価に関する情報、個人の金融情報などの大量のデータを処理し、クレジットカードや融資の与信審査などに利用するなどのケースが挙げられます。

 

ビッグデータに関する求人

多くの大手保険会社やクレジットカード会社などでデータエンジニアやデータサイエンティスとなどの求人が増加してきており、ビッグデータを有効活用することで各社ともに業務効率化や新サービスの創造を図っています。一方で日本国内におけるビッグデータ関連の人材は、未だ不足しているため、一部の日系保険会社などでは、日本語を話さない外国人も積極的に採用されています。

また、AIの普及により、データサイエンティストなどの役割は変わってきています。データ分析だけでなく、今後はコンサルティングができるような高い技術力を持つ人材が求められるでしょう。

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④    ブロックチェーン

ブロックチェーンと聞くとビットコインなどの仮想通貨を思い浮かべる方も多いかと思いますが、ブロックチェーン技術は仮想通貨だけでなく他の幅広い領域に応用されており、今後ブロックチェーン技術の導入によるビジネスの大きな変革が見込まれています。

ブロックチェーンは、中央サーバーを持たず端末同士でデータを管理するため、大幅なコスト削減が可能であり、データを共有している端末の一部に不都合が生じた場合でも、正常に動いている端末同士で安定した運用が続けられ、サーバーダウンが起こりにくいといった強みを持っているため、通常の取引や電子投票、契約書の締結などを代表とした、ビジネスに必要な基本的な業務におけるブロックチェーン技術の更なる活用が予想されます。

例えば、Facebookは、円やドルなどの裏付け資産を取り扱うステーブルコイン「Diem(ディエム)」により、銀行などの金融機関を経由せずとも国内外へ簡単に送金することを可能にしています。

 

ブロックチェーン技術に関する求人

現在日本国内においてブロックチェーン技術を持つエンジニアは多くはないため、多くの外国人エンジニアが活躍しています。仮想通貨事業者だけでなく、銀行などの金融業界やブロックチェーンのソリューションを提供するスタートアップを中心に、ブロックチェーン技術が求められる求人は増加を続けており、今後も需要の成長が見込まれる分野と言えます。

ウェブサイトへのログインやイベントでの本人確認、空港での搭乗手続きなど、日常の様々なシーンで使用されている生体認証技術。2012年に生体認証を含むオンライン認証を中心とした世界的な認証の標準化を目指すFIDO(Fast IDentity Online)Allianceが、LenovoPay Pal等の6社により発足し、その規模を拡大させてきました。

日本国内においても、生体認証決済は単なる利便性向上をもたらすものとしてだけでなく、新たなユーザーエクスペリエンスとして評価されており、多くの企業や自治体において活用が進められています。一方で、認証の精度やなりすまし・プライバシーに関する問題等、本格的な普及に向けての課題も見られ、適切な対策が求められています。Appleの提供するApplePayをはじめとし、日本国内でもLIQUID Payなどの指紋認証決済サービスが、生体認証技術を活用したフィンテックとして2015年の実用化開始以降ユーザー数を増やしています。また、Amazonは、顔認証技術を利用して、お店の商品を手ぶらで店から持ち出した際に自動的に決済するシステムを実験的に開始し、話題となりました。

 

⑤  生体認証

ウェブサイトへのログインやイベントでの本人確認、空港での搭乗手続きなど、日常の様々なシーンで使用されている生体認証技術。2012年に生体認証を含むオンライン認証を中心とした世界的な認証の標準化を目指すFIDO(Fast IDentity Online)Allianceが、LenovoPay Pal等の6社により発足し、その規模を拡大させてきました。

日本国内においても、生体認証決済は単なる利便性向上をもたらすものとしてだけでなく、新たなユーザーエクスペリエンスとして評価されており、多くの企業や自治体において活用が進められています。一方で、認証の精度やなりすまし・プライバシーに関する問題等、本格的な普及に向けての課題も見られ、適切な対策が求められています。Appleの提供するApplePayをはじめとし、日本国内でもLIQUID Payなどの指紋認証決済サービスが、生体認証技術を活用したフィンテックとして2015年の実用化開始以降ユーザー数を増やしています。また、Amazonは、顔認証技術を利用して、お店の商品を手ぶらで店から持ち出した際に自動的に決済するシステムを実験的に開始し、話題となりました。

 

生体認証技術に関する求人

現在生体認証技術は、未だ用途が本人認証に限られていることもあり、IoTやAI等他の技術と比較した場合、未だ需要が非常に高い状況とは言えないかもしれません。しかし、生体認証は新たな技術の応用が目覚ましい分野でもあり、今後開発が進むにつれ、日本国内における生体認証技術を持つ人材の需要も高まることが予測されます。

 

日本におけるフィンテック市場の課題とは

国内でも活発化するフィンテック市場ですが、金融仲介機能としての重要性が高まるに伴い見え隠れする課題もあります。例えば、日本国内ではここ数年の急速的な拡大により、国内の法整備の中でも、フィンテックのサービスに対応していない事例が見られます。

また、フィンテック分野の中でもキャッシュレス決済に関しては、近年日本においても成長を遂げているとはいえ、中国やスウェーデンをはじめとした他の先進国と比べるとまだまだ遅れが見られます。この主な原因としては、「事業者側にかかるコスト」と「決済手段が乱立していること」が挙げられています。(参考記事:【フィンテック】日本で電子決済サービス普及が遅れた理由と今後|キャッシュレス先進国と比べて見えてきた課題とは)。また、日本ではキャッシュレス決済に対し不安に思う消費者の傾向が未だ見られており、経済社会システム総合研究所(IESS)が2021年12月に実施した「消費者心理調査(新CSI)」によると、キャッシュレス決済を利用したことがない人は20.5%となりました。また、この現金主義な考え方が顕著な高齢者に対しては、ITリテラシーを上げる必要性も指摘されています。

 

転職先としてフィンテック業界が注目されている理由

現在フィンテック業界は多くのITエンジニアから注目を浴びており、以下の理由から、次の転職先として検討する方も多く見られます。

  • フィンテックの社会的なインパクトの大きさ・市場規模の拡大
  • 異業種や未経験でも転職が可能である
  • 最先端技術の取得や応用が可能である

 

以下、フィンテック業界が転職先として注目されている理由について、詳しく解説していきます。

 

フィンテックの社会的なインパクトの大きさ・市場規模の拡大

フィンテックは今後ますます発展を遂げることが予想されており、これにより、金融機関のグローバル化や、バーチャルによる利便性の向上などの様々な社会変化をもたらす可能性が考えられます。金融サービスに関わることは、経済や人々の生活へ大きな変える可能性が秘められており、そのために社会に大きなインパクトを与えたい企業家やITエンジニアの中で、フィンテック分野でのキャリアアップに挑戦するという方も見られます。

 

異業種や未経験でも転職が可能

フィンテック業界は発展著しい分野であることに加え、許認可の縛りからある程度自由であることもあり、多くのサービスを手掛けやすい業界でもあります。このため、転職者として受け入れる人材の幅も広く、様々な業界からの転職を可能にしています。例えば、フィンテック業界での営業職は、法人向けの無形商材営業の経験、もしくは金融業界での職務経験があれば転職が可能です。エンジニアの場合、エンジニア経験があれば、フィンテック業界での経験がない場合でも、異業界からの転職が可能となっています。

 

【異業種転職】成長を続けるフィンテック、どの業界からの転職が多い?」の記事では、フィンテック業界へ転職された方のバックグラウンドに関する調査を、当社の実績に基づきご紹介させていただきました。その結果では、エンジニアを中心としたテクニカルポジションでは、ほとんどの方がIT分野内の異なる領域からの転職を、そしてディレクターレベルでない営業やマーケティングなどの職種でも、広告・クリエイティブ関係などの異業種からの転職が多々見られました。

 

また、「金融からの転職で、フィンテックの人気が高まっている理由とは?」の記事では、金融業界からフィンテックへのキャリアチェンジを希望される方が増えているのかに加えて、転職のネックとなり得る理由について解説しています。

 

最先端技術の取得や応用

フィンテック業界では様々な先端IT技術を取り扱う機会があるため、技術力を磨いていきたいITエンジニアにとっては非常に魅力的な分野であると言えます。先述のIoT、ブロックチェーン、AI、ビッグデータ、生体認証はフィンテック業界において重要となる技術で、今後の著しい成長が期待されているこれらの技術を身に着けることで、今後キャリアアップを考えた際の選択肢も広がるでしょう。

 

フィンテック業界への転職をお考えですか?

以上の理由から、フィンテック業界への転職は、今後のキャリア形成において大きなアドバンテージとなることが期待できます。日本国内においてまだまだ課題も多々あるフィンテック市場ですが、それらを乗り越えて発展を遂げるため、フィンテック業界では多くの仕事が生まれることが見込まれています。

Computer Futuresではフィンテック関連の求人を多数取り扱っております。最新の求人情報にご興味がおありの方は、以下のボタンより求人検索をご覧ください。また、当業界に特化したコンサルタントへ業界の採用動向やアドバイスをお求めの方は、お気軽に以下のフォームよりお問い合わせくださいませ。

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