金融 IT

DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応が急務と言われている金融業界。近年では、当業界におけるIT関連職の求人も多く見られるようになりました。実際に金融業界におけるIT関連職への転職に興味があるものの、業界での経験やスキルなどがどの程度必要とされるのかわかりづらいという方も多いのではないでしょうか。

今回は、金融業界におけるIT人材不足が進んでいる背景、金融×IT職として需要の高まる金融ITコンサルタントと金融系SE(システムエンジニア)の仕事内容や必要なスキル・資格、転職を成功させるコツについて詳しく解説します。

 

目次




金融業界においてIT人材の確保が急務となっている背景

「2025年の崖」という言葉があるように、既存ITシステムの老巧化とIT技術者の枯渇に伴い、日本の企業の多くが2025年頃に大きなトラブルを迎えると言われています。特に金融業界においてこの傾向が顕著に見られ、2025年の崖により自社業務システムの維持が困難になる、ビックデータの活用が出来ずDX波に遅れてしまう、保守にIT人材を割かなければならず、最先端デジタル技術開発に人材を回す余裕がなくなるなどの不利益が生じることが予想されます。

金融業界がDX化に後れを伴っている理由は、金融業界が以下のような特徴を持っていることが関係しています。

  • 独自情報処理システムを構築しているオンプレミス型であるため、新たな取り組みを取り入れにくい環境である
  • 伝統業界ならではの対面やハンコでの契約を重視している
  • B2B取引においては顧客のITリテラシーにばらつきが多い
  • セキュリティを最優先するが故に、情報システムのガラパゴス化が起きている
  • 失敗は許されない風潮を持つ業界であり、基本的に変革に対してネガティブである
  • 金融各社が巨大規模であり、DXのために莫大な予算を計上しなければならない


これらを踏まえ、金融業界は、業界全体でのDX対応のために以下のような対応を取ることが求められています。

  • 業界全体での規制緩和や伝統の見直し、変化に対する認識の変化の呼びかけ(対面契約の見直し、契約書やハンコの電子化など)
  • IT人材の確保

特にIT人材の確保に関しては最優先で行うべき事項となっており、このような背景から、金融業界ではDXに対応するための人材と既存システムのメンテナンス・改造に対応できる人材の確保が急務となっています。



金融×ITで需要が高まる職種例とキャリアの歩み方

金融企業におけるDX化を進めるために特に需要が高まるIT人材としては、ITコンサルタントとSEが挙げられます。以下、それぞれの職種をご紹介します。

金融ITコンサルタント

金融ITコンサルタントとは、金融機関(銀行・証券・保険)における様々な課題を、ITソリューションと金融業界の知見と経験を用いて解決していく職種です。前述の通り、金融業界は近年のDXへの動きに対応しきれていない部分があります。そのため、新たなデジタルテクノロジーをどのように活用し、従来のシステムや自らのビジネスモデルをどのように最適化していくのかは、企業の生き残りをかけた大きな問題となっています。

金融ITコンサルタントが取り組むプロジェクトはこれまでの業務を単純にデジタル化するだけでなく、企業全体、もしくは業界全体のビジネスモデルを大きく変革し新たな時代を切り開く可能性を秘めており、大きなやりがいを持って取り組むことができる仕事です。



金融系SE

金融系SEは、金融機関(銀行・証券・保険)が利用している業務システムの構築や開発、運用を行うエンジニアです。近年では、金融業界におけるサービスの多くがインターネットを利用して処理・管理されており、他の業界と同様にIT依存度が高くなりつつあります。金融機関は特に複雑で繊細な業務を抱えているため、SEとして開発に取り組むことで解決できる課題も多く、やりがいと責任を感じられる重要な職種となっています。



金融×IT関連職へ転職するコツとは?

ここからは、前述の金融ITコンサルタントや金融系SEに転職を目指す方に向け、転職を成功させるためのコツをご紹介します。



必要なスキルや資格を取得する

業界・職種未経験から金融業界におけるIT職への転職をお考えの場合、まずは金融やITに関連した知識やスキルを高めることが必要です。そのためにも、資格の取得を目指すことをおすすめします。以下、金融ITコンサルタントと金融系SEへ転職するために必要なスキルや役立つ資格についてご紹介します。



銀行業務検定

銀行や保険、証券等金融機関の行職員を対象とした、業務の遂行に必要な実務知識や技能応用力を図るための試験です。検定は法務や財務、税務などの23系統、36種類と多いので、自分のキャリアパスに合ったものを選びましょう。

詳細はこちら:銀行業務検定協会 (kenteishiken.gr.jp)



日商簿記検定

財務諸表の読み方や会計科目や私訳などが問われる試験です。知名度が高く、経理や財政、一般事務職への就職や転職にも有利に働くことが多い資格です。

詳細はこちら:簿記 | 商工会議所の検定試験 (kentei.ne.jp)



情報処理安全確保支援士試験

セキュリティリスクを分析、評価し、組織の事業やサービス、そして情報システムの安全を確保するセキュリティエンジニアや、技術・管理の両面から有効な対策を助言、提案して経営層を支援するセキュリティコンサルタントなどを対象に実施されている試験です。合格すると、情報セキュリティに関する高度な知識やスキルを有していることが証明できます。金融機関でもセキュリティに関する知見を持ち合わせた人材は重宝されるため、その領域で活躍したいと考える方は情報処理安全確保支援士の資格を取得することをおすすめします。

詳細はこちら:情報処理安全確保支援士試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構



CISSP認定試験

CISSP認定試験は、(ISC)²が認定を行っている、国際的に認められた権威のある情報セキュリティ・プロフェッショナル認定試験です。こちらも資格を取得することで、ITガバナンスやリスク管理、情報制セキュリティに関する包括的な知識を持ち合わせていることを証明できます。

詳細はこちら:(ISC)² Japan (isc2.org)



AFP資格

FP(ファイナンシャルプランナー)として相談者に適切なアドバイスや提案ができる技能を持ち合わせていることを証明する資格です。顧客に対してファイナンシャル・プランニングを行うための基本的なインタビュー技術、提案書の作成技術、プラン実施援助のための諸知識を学びます。

詳細はこちら:AFP資格とは? | 日本FP協会 (jafp.or.jp)

 

金融ITコンサルタントもしくは金融系SEのどちらの職種へ転職を考えているにせよ、これらの資格の取得は転職の際に有利に働く可能性があるため、転職前に取得することをおすすめします。



金融×ITで役立つスキル

金融業界におけるIT関連職への転職を希望している場合、必要なスキルはもちろんポジションにより異なりますが、以下、金融ITコンサルタントや金融系SEに必須のスキルについてご紹介します。

金融系ITコンサルタントに必要なスキル

  • 数理的なスキル
  • ITの基本的な知識
  • 金融業務の基本的な知識
  • ロジカルシンキング能力
  • SCM・ERP・PMOなどの担当する領域に関する知識
  • 語学力(外資系企業の場合)



金融系SEに必要なスキル

  • 数理的なスキル
  • ITの基本的な知識
  • 金融業務の基本的な知識
  • プログラミングスキル
  • コミュニケーション能力

金融ITコンサルタントや金融系SEに必要なスキルは、担当する領域やポジションによっても異なります。まずは自分が興味を持っている分野・企業の求人情報を確認してみることをおすすめします。



まずフィンテック業界での経験を積むこともオススメ

上記でご紹介した職種に必要なスキルは、フィンテック業界(ファイナンシャルテクノロジー業界)においても必須となるもので、言い換えればフィンテック企業へ転職することで、金融業界におけるIT関連職と同様に金融とIT双方における知見を活用し、ブラッシュアップすることが可能です。また、フィンテック業界は金融業界に比べて意思決定のスピードが速く、革新的な環境で働くことができますし、将来性が高く人材ニーズも今後更なる勢いで拡大を続けることが予想されます。金融機関への転職する前にまずこちらの領域に挑戦、その後金融機関へ転職する、もしくはそのままフィンテック業界へ残りスキルアップを目指すことも一つの手です。

こちらの記事では金融業界とフィンテック業界の主な違いについて解説しています。

 

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金融×ITへの転職をお考えですか?

金融業界におけるIT関連職は、今後最もニーズの高まる職種の一つです。業界未経験から転職を考えている方にとっても、今まで培ってきたITに関するスキルや経験を活用するためにおすすめのポジションですので、金融とITの知識を活かした転職を考えている方は是非この機会に転職エージェンシーに相談してみることをおすすめします。

弊社でも金融業界でのIT関連職へ転職を目指す方へのアドバイスを行っております。また、業界の展望や他業界との比較など、各種ご相談も随時受け付けております。こちらの領域におけるキャリアアップの機会をお探しの方は以下のフォームからお問い合わせください。

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