
2017年に到来した仮想通貨ブーム以降、金融と情報サービス(IT)を組み合わせた様々な革新的な動きを表す言葉として「フィンテック(Fintech)」という言葉が使われています。フィンテックは、ファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を融合した造語で(参考: 日本銀行公式サイト)、新たな金融サービスとして今後主流になっていくとも言われています。勢いのある業界として今後大きな成長が見込まれており、より積極的な求人活動も予想されています。
この記事では、現在フィンテック関連のサービスが提供されている分野やそれらの各サービスを提供する主な企業をフィンテック初心者の方にも分かりやすくご紹介していきます。また、記事の後半では未経験からフィンテック業界への転職や新卒からの就職は可能かなどの気になる点も解説していますので、ご興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
フィンテックの有名企業一覧【11分野別】
現在、経済産業省やシンクタンクは世界や日本のフィンテックの動向を頻繁に調査しており、その際のセグメントとしてフィンテックを11つのカテゴリーに分類しています。
フィンテックの分野11つ
- 決済・送金
- 融資・ローン
- 会計・財務
- 資産運用
- 保険
- 仮想通貨・ブロックチェーン
- セキュリティ
- 金融情報
- 会計管理(PMF)
- ソーシャルレンディング
- クラウドファンディング
以下ではそれぞれの特徴と代表的な企業を見ていきます。
フィンテック企業: 決済・送金
現金や金融機関での手続きを必要としない「スマート決済」と呼ばれる決済手段が世界で勢いを増しており、日本でもキャッシュレス決済システムの利用加盟店は増加傾向にあります。決済サービスは大きく分けて「カード決済」と「QRコード決済」の2種類に分類され、QRコード決済はPayPayや楽天ペイなどを筆頭に多くの大手IT企業がサービスを提供しています。
<代表的な企業>
フィンテック企業: 融資・ローン
銀行やローン会社などの融資にもフィンテックの活用が進んでおり、ネット上でスピーディーに取引を済ませることが可能となっています。
<代表的な企業>
フィンテック企業: 会計・財務
会計や財務処理においては、これまで人的なミスが多々起きることが課題となっていました。クラウドサービスの出現によってこのようなミスの削減、そして会計処理時間の短縮や会社の会計状況の可視化へと繋がっています。
<代表的な企業>
フィンテック企業: 資産運用
資産運用においてはAI(人口知能)による解析技術が進歩し、金融商品の選定から資産配分、リバランスなどを自動で最適化することが可能となってきています。これはロボバイザーと呼ばれ、日本では、資産運用の診断・助言を行うアドバイス型のものと、投資アルゴリズムにもとづき運用・売買までを行う投資一任型の2種類が存在しています。
<代表的な企業>
フィンテック企業: 保険
保険のイメージとして、保険のセールスマンや代理店を経由して加入するといったものを思い浮かべる方も多いかと思われますが、近年ではネットで加入出来る保険も成長してきています。これはインシュアテック(InsurTech)と呼ばれ、人工知能を活用した保険業務の効率化や革新的な商品・サービスを可能にしています。
<代表的な企業>
フィンテック企業: 仮想通貨・ブロックチェーン
仮想通貨は、ブロックチェーンという技術を用いることで、銀行などの管理機関を介すことなく入出金をはじめとした取引記録の保存を可能にした通貨です。過去にはハッキング問題や価値の暴落などもありましたが、現在は仮想通貨の市場は安定してきており、今後も拡大が予想されています。
<代表的な企業>
フィンテック企業: セキュリティ
フィンテックの成長により電子的なお金の取引数が増加することで、これらの金融取引に伴うハッキングや不正アクセスなどのセキュリティ面における問題も急増しています。フィンテックの企業にはこういった不正アクセス検知サービスやフィッシング攻撃対策、そして不正ログイン防止サービスなどを提供しているものもあります。例えばLIQUIDの提供する生体認証システムは、今までの「現在指紋をかざしているのは本当にその人か」という確認を行う存在とは異なり、「指紋をかざしているのはこの人だ」という特定を可能にしたシステムと言え、よりセキュリティの強化された金融取引を可能にしています。
<代表的な企業>
フィンテック企業: 金融情報
投資家や経営者が資産運用や経営戦略の立案を行う際には、消費動向や物価指数、売り上げ予想などの金融情報や企業情報などを効率良く収集する必要があります。このようなデータを分析し、質の高い情報を素早く取得するためのサービスとしてITの技術が利用されています。
<代表的な企業>
フィンテック企業: 会計管理(PMF)
PMF(Personal Finance Management)は今までの家計簿アプリとは異なり、様々な金融機関の口座やクレジットカードと連携して自動的に財務情報を収集・管理することができます。
<代表的な企業>
フィンテック企業: ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは「貸付型クラウドファンディング」とも呼ばれ、個人の投資家とお金を借りたい借り手(主に企業)の両者を金融商品を通して結ぶサービスのことを指します。投資信託との違いとして、投資家が自身で融資先を探し、価格が相場に左右されない点が挙げられます。
<代表的な企業>
フィンテック企業: クラウドファンディング
ユーザーが取り組みたいプロジェクトを公開し、インターネット上で手軽に不特定多数から資金調達ができるサービスです。クラウドファンディングには、Camp FireやReady Forのように資金を集めて計画を遂行し、運用対象は商品やコンテンツなど様々である「購入型」と、被災地支援や社会貢献性の高いプロジェクトに寄付という形で支援する「寄付型」があります。
<代表的な企業>
Q&A|フィンテック企業に関するよくある質問
ここからはフィンテックに関わる企業の就職・転職に関連した質問とその回答をご紹介していきます。
新卒・未経験からフィンテック企業に就職することは可能?
結論から言うと、新卒や未経験からでもフィンテック関連職に就職することは十分に可能です。しかし、フィンテック企業への就職や転職にはITや金融といった知識や経験があった方が良いのは言うまでもありません。まずは最低限のITやWebの知識のために ITパスポートの取得をしてみても良いでしょう。
フィンテック企業への転職で求められる経験・スキルとは?
フィンテック企業に就職するにあたって求められる経験やスキルには大きく分けて、
- IT・金融に関する専門知識
- 事業内容に親和性の高い経験
の2つが挙げられます。
ITに関しては最近主流となっているAI、金融知識に関しては為替や投融資に関する知識が必須と言えます。
また、大手金融機関ではこれまでの同業種経験者中心の採用とは異なり、フィンテック関連では、WebエンジニアやWebマーケティング経験者などの新しい視点や知見を持った人材へのニーズが高まりつつあります。フィンテック関連のベンチャー企業も採用意欲は旺盛ですが、シード期は事業開発、事業拡大期はマーケティングや営業というように、フェーズによって異なった経験・知識を持った人材が求められます。また、他業種であってもeコマース分野など、似たような領域での経験をお持ちの場合、ポジションによっては活かすこともできます。
フィンテック企業へ転職する方法とは?
フィンテック企業へ転職する代表的な方法としては、
- 企業のサイトなどを通じて直接応募
- 企業に勤める知人からの紹介
- 求人サイトなどから応募
- 転職エージェントを利用
などが挙げられます。
転職エージェント・サイトを利用することのメリットとしては、
・自分では見つけることのできない求人にアクセスできる
・自分では知り得ない情報を知ることができる
・条件の交渉や辞退など、直接伝えづらいことを代わりに伝えてもらえる
・転職後も定期的な情報交換ができる
・これらのサービスが全て無料で受けられる
などが挙げられます。エージェントを使うことのメリットについてはこちらの記事で詳しくご紹介しておりますので是非ご覧くださいませ。
フィンテック業界・企業の平均年収は?
フィンテック業界や企業における年収相場はどのくらいなのでしょうか。
ITや金融といった専門性の高い知識を必要とする業界であるため、フィンテック企業の年収は他業界と比べて高い傾向にあります。働く企業規模や能力によって異なりますが、1,000万円を超えるようなものも見られます。ただし、フィンテック関連職といっても様々でその内容によっても大きく異なります。以下の給与調査ではポジションごとの年収の水準をまとめましたので、こちらもぜひご参照ください。

当社がまとめた最新の給与調査では各ポジションの給与水準をまとめています。詳しくはダウンロードしてご覧くださいませ。
ガイドを無料ダウンロードするフィンテック企業 − まとめ
今回の記事では、フィンテック業界や関連する企業、そして転職する際に必要な基本事項を解説しました。前述したとおり、フィンテック関連企業への転職は決して簡単ではありませんが、必要な知識やスキルを身に着けていれば新卒や未経験からでも不可能ではなく、成長を続ける分野だからこそ給与面でも経験面でも得られるものは大きいはずです。フィンテックに関連した最新の求人情報にご興味がおありの方は、以下から求人検索をご覧いただくか、フォームよりお問い合わせください。