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当社が以前公開した「フィンテックの日本における活用例と今後の課題」の記事では、2022年におけるフィンテックの活用例と求人需要について、5つの先端技術別にご紹介しました。

2022年5月には、Opn(旧Synqa)が日本国内におけるフィンテック企業5社目となるユニコーン企業入りを果たしたことが報じられるなど、今後も新たなサービスの展開と成長が見込まれるフィンテック業界。今回は、今後2022年~2023年におけるフィンテック業界のトレンドとさらなる活用が期待されているフィンテックサービスに関して、詳しくご紹介します。

 

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ニュース&業界インサイト【フィンテック業界】

 

フィンテック業界のトレンド【2022年・2023年】

 

ブロックチェーン・Web3.0

2022年は、ブロックチェーンにとって大きな飛躍の年となりました。今後Web3.0がより安全かつ身近なものになることが期待される中、ブロックチェーン技術も必然的に重要性を増していくことが予想されます。ブロックチェーン技術の透明性、安全性、効率性は、特にフィンテック業界にとって非常に魅力的であり、ブロックチェーン分野の経験やスキルを持つエンジニアや開発者の需要が拡大することも予想されます。Statistaによると、欧米の銀行の9割がブロックチェーンの利用を検討しているとされ、フィンテックの技術市場は2018年の0.28億米ドル(約374億円)から、2026年には225億米ドル(約3兆円)に成長すると予測されています。

日本では、日本銀行が欧州中央銀行(ECB)と連携して、ブロックチェーンを活用した技術を決済システムに適用しようとしています。民間銀行に至っては、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行など、いわゆるメガバンクに代表される大手金融機関9社が共同でブロックチェーン決済の実証実験を行い、すでに将来のブロックチェーン活用を見据えた動きが始まっています。

ブロックチェーン対応ビジネスを展開する企業の中には、銀行に代表される既存プレイヤーだけでなく、bitflyerOmiseなどの革新的なスタートアップもあり、今後ますます注目が高まります。

 

グリーン・フィンテック

グリーン・フィンテックとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた「フィンテック(FinTech)」に「環境保護への貢献」といった要素を加えたものです。近年、国連の「持続可能な開発目標」と「気候変動に関するパリ協定」の影響もあり、英国をはじめとする国々で台頭するフィンテックの分野の一つとなっています。サステナビリティは長年にわたり企業活動の大きな部分を占めてきましたが、現在ではその重要性を認識する個人も増えてきています。グリーン・フィンテックの活用の一例としてはモバイル銀行口座の創設が挙げられ、プラスチックカードや紙の明細書が不要になったことでユーザーはすべての取引をスマートフォンで完了できるようになりました。

例えば、DoconomyYayzyCogoなどのフィンテック・スタートアップは、消費者の消費行動から彼らの二酸化炭素排出量を計算し「持続可能な消費行動」を促すなど、ESG(環境・社会・ガバナンス)関連の取り組みにおいて、積極的なデータ・プロバイダーと金融機関の組み合わせが一般的になりつつあります。イタリア発のデジタルバンクFloweもスウェーデン発のDoconomyと連携し、デビットカード利用者のCO2排出量を可視化し、持続可能な消費行動を選択するよう促しています。また、Net Purposeは、個人投資家が投資先企業などの環境へ影響を与える影響の規模を追跡、報告、測定できるサービスを提供しています。

 

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RegTech(レグテック)

 RegTechとは、レギュレーション(規則)とテクノロジーの造語で、金融機関が政府の規制に対応するために利用する技術のことを指します。近年、政府の規制が厳しくなるにつれ、企業のコンプライアンスに対する負担が大きくなっている背景もあり、フィンテック業界においても注目を浴びている分野の一つです。RegTechは、コンプライアンスの検証から、組織のリスク管理、マネーロンダリング防止対策(AML)まで、さまざまな分野で企業の負担やリスクを軽減するために重宝されており、今後より一層注目が集まることが予想される分野です。

 

レグテックの活用例

  • 取引先企業や個人のプロファイルに関わるデータ収集やAIによる自動スコアリング
  • 社内外へのコンプライアンス関連のレポーティングにまつわるデータ収集やレポートの自動作成
  • 金融規制の変更にまつわる情報収集及び、ガイダンスへの反映指示
  • 取引データを基にしたマネーロンダリングの感知

 

現在、RegTechは主に金融業界で活用されていますが、成功事例が蓄積されれば、司法分野、ひいてはマイナンバーに関連する行政分野にも応用でき、手続きの簡素化・迅速化によって人々の生活を大きく楽にすることが期待されます。

 

フィンテック業界で今後期待されるサービス【2022年・2023年】

ここからは、フィンテック業界において現在注目を集めているサービスをご紹介します。

 

組み込み型金融

近年、「非金融事業者が既存のサービスに金融サービスを組み込む」ことで顧客体験を劇的に向上させるEmbedded Finance(組み込み型金融)がフィンテックの新たな形として注目されています。昨今のBNPL(Buy Now Pay Later: 後払い決済)を軸としたGoogleによるpringPayPalによるPaidyなどの大型買収にも見られるように、日本を巻き込みグローバル規模での大きな潮流となっています。また、配車サービスUberにおけるアプリケーションを利用した事前決済も、組み込み型金融の一例です。

 

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組み込み型金融は、預金、決済、貸付、保険、証券の5つのサービスに分けられます。米国では、それぞれの類型において利便性の高い顧客体験の実現に成功し、ユーザーに認知されているサービス例が多数存在します。日本においても、資金決済法の変更や銀行法改正によるAPI解放などの規制面での後押しもあり、異業種企業への金融サービス提供の機会が広まっており、大手企業が今後続々と参入することが予想されます。また、組み込み型金融の普及とともに、「スーパーアプリ」と呼ばれる、金融サービスから配車サービスまで様々な機能を一貫して提供するアプリケーションも注目されており、LINE(日本)やWeChat(中国)、Alipay(中国)など、特にアジア圏において多くのアプリケーションがスーパーアプリとして重宝されています。

 

全銀EDIシステム(ZEDI)

2018年12月から稼働を開始したZEDI(全銀EDIシステム)が、多くの企業に活用され始めています。ZEDIとは、 が提供するシステムで、支払企業から受取企業に総合振込を行う際に支払通知番号・請求書番号などの様々なZEDI情報の添付やし、経理業務の効率化を可能にしています。特に受取企業にとっては、今まで入金消込業務を自動化でき、今まで人力で行っていた作業をしなくて済むという大きなメリットが生じます。また、金融企業にとっても、ZEDIにより企業の取引情報を把握し、各種のコンサルティングやビジネス分析、さらには業界や業態ごとのビジネス予測や市場動向調査、小口融資などの新たな金融ソリューションの提供が可能となります。

システム整備が進む一方で、未だ利活用が不十分な点が普及の課題とされてきたSEDIですが、全国銀行資金決済ネットワークでは、2022年にZEDIを利用し取引を行うソフトウェアベンダーへ助成費を支給する施策を行い、2023年10月の消費税インボイス制度への移行を見据え、標準化されたデジタルインボイスや決済への連携に対応した製品やサービスなどの開発を行う事業者への開発費用の助成を行うことを決定するなど、日本国内ではZEDI活用への後押しとそれに伴う更なる活用が進むことが期待されています。

 

電子インボイス

2020年、ERPベンダー5社からなるデジタルインボイス支援研究会(EIPA)が適格請求書等保存方式(インボイス制度)を2023年10月から施行することを発表し、それに伴い電子インボイス推進協議会(現: デジタルインボイス推進協議会)が設立されました。電子インボイス自体は以前から使われていましたが、このインボイス制度により、電子インボイスを導入した際の企業の業務効率は大きく向上し、社会制度の運営コストも大幅に引き下がることが期待でき、今後国内において更に活用が進むと予想されます。

また、電子インボイス支援協会(EIS)に所属するフリーウェイジャパンは、2022年7月にQRコードを利用したインボイス規格「QRインボイス」を発表しました。領収書、見積書、請求書などアナログな取引書類の取引情報をQR化し、正確かつ容易に紙媒体によるデジタルデータを運用することが出来、中小企業や起業家、フリーランスなどの小規模事業者にとっても手軽に使用できる、QRインボイスに対応したシステムの提供を進めています。

 

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AIを使用した、よりパーソナライズされたサービス

人工知能(AI)は組織がデータを処理し、より精度の高い洞察を得るのに役立つため、金融機関にとってはハイパー・パーソナライゼーションの呼び水となります。Business Insider Intelligenceは、フロントオフィスとミドルオフィスにAIを統合することで、2023年までに最大可能性があると予想しています。銀行はAIを導入することで、社内プロセスを合理化し、顧客のニーズや行動を予測し、よりパーソナライズされた体験を提供するための適切な指示を出すことが可能となります。

例えば、金融機関はAIを利用することで顧客の年齢、支出、銀行パッケージなどに基づいた新商品や融資オプションなどの電子メールや広告を送信することができます。行動を分析することで、銀行は顧客とのコミュニケーションをパーソナライズするだけでなく、提供する商品もパーソナライズすることができます。

 

フィンテック 今後|まとめ

今後も様々なサービスが生まれ、既存のサービスの枠組みを大きく覆す可能性を秘めているフィンテック。フィンテック分野における人材の需要も今後ますます高まることが予想され、この分野における転職をお考えの方にとっては絶好のチャンスと言えます。

 

CF Fintech トレンド ガイド

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