
昨年当社がグローバル規模でお客様に向けて行った調査では、2022年に向けた取り組みとして、多くの方に「DX(デジタルトランスフォーメーション)プログラムへの投資を加速させることが非常に重要である。主な課題は適切なスキルを持つ人材を特定することである」とお答えいただきました。 IT・テクノロジー業界にとどまらず、DXは今やどの業種の企業にとっても急務となっています。顧客や潜在的な社員、すなわち候補者が企業を評価する際にも、デジタルプラットフォームが確立されているかどうか、またそれらが効率的に運用されているかどうかは大きな指標となり得ます。
一方で、情報処理推進機構(IPA)が発表した調査結果によると、多くの組織でDXを推進するための人材が不足している現実が見て取れます。この背景にあるのは、DXそのものが日本では比較的新しい分野であるために、豊富な経験や知識を持つ人は市場にそもそも少ないことが挙げられます。また、企業側としても具体的にどのようなスキルを持った人材を探せばよいのか、職務としてどの範囲までを求人広告に載せるべきなのかなど、まだ手探りな部分も多く、求職者が求める情報と企業が提示する情報にミスマッチが生まれた結果、人材獲得に苦戦しているケースも見られます。以下では、DX推進のための人材やリソースを確保するための方法と、今すぐ実践できるヒントをご紹介します。
DX人材やリソース獲得のための方法
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外部組織へアウトソースする
IT分野における2021年のトレンドとして、DXプロジェクトの増加によってDX案件を専門に扱うコンサルティングファームの設立が相次いだことが挙げられます。
このようにDX推進プロジェクトの立ち上げや新しいソリューションの導入をコンサルティングファームに任せる場合、様々な知見やノウハウを取り入れることができるといったメリットがある一方で、プロジェクトを成功させ、その後もうまく定着させて運用していくためには、組織内でDXプロジェクトの目標が明確にかつ具体的に確立していること、社内の課題や現状を把握しその知見を踏まえた要件定義ができること、また導入後の定着フェーズにおいてイニチアチブを取っていく人が社内に必要となることなど、すべてをアウトソースすることは極めて難しく、社内でどのような組織づくりを行うかも成功のカギを握る大きな要素となります。
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社内で人材育成をする
アウトソースや採用に比べるとコストを抑えられる方法かつ、社内の事情を理解している人材を育成してDXプロジェクトを進めることで、プロジェクト始動後に具体的な成果物について意見の相違が起きたり、期待していた進め方とは異なったりといったトラブルが起こるリスクを下げることができます。ただし、育成や教育にはある程度の時間がかかること、また仮にその社員が退社した際のことも見据えてスキルやタスクが俗人的にならないような育成システムを構築するなどのステップが求められます。
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中途採用で適切なスキルを持った人材を採用する
中途採用は採用プロセスに時間やコストがかかるために初期投資が必要となるものの、必要な人材をスキルや経験ベースで探すことができる、またプロジェクト終了後も社内にノウハウを蓄積できるなど、長期的な目線で見たメリットが多くあります。
実際にDXプロジェクトの中心となる職種としては、
- CDO
- DXリード
- ITストラテジスト
- ITマネージャー
- AIエンジニア、RPAエンジニア、IoTエンジニア
- データサイエンティスト
- デジタルマーケティングマネージャー
- ITストラテジスト
- ITマネージャー
などが挙げられます。これらの職種で採用を行う際の妥当な年収提示額は以下の給与水準調査をご覧ください。
【給与調査リンク】
上述のようにこれらのスキルや経験を持つ人材は決して多くなく、獲得は簡単ではありませんが、以下のヒントを実践することで候補者プールのすそ野を広げると同時に、より魅力的な求人として、妥当なスキルを持つ候補者にアピールすることができます。
適切なスキルを持つ人材獲得のためにできること
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職務要件を可能な限り細かく書く
適切な経験やスキルを持つ候補者ほど、入社後に具体的にどのようなプロジェクトやタスクに携われるのか、自分のこれまでの経験を活かしつつさらにスキルを身に着け、挑戦を続けられる環境があるのか、募集職種は社内でどのような位置づけにあるのかなど、企業の将来性はもちろんのこと、個人の成長を達成できるかという点を転職活動の大きな軸としています。
DXプロジェクトのための採用なのであれば、プロジェクトの大まかな規模や、どのフェーズでどのような責任を負うことが期待されているのか、ステークホルダーの数や種類、また立ち上げが落ち着いた後はどのように関わっていくのかなど、可能な限り具体的な内容を盛り込むことで、応募者としても仕事のイメージが湧きやすく、応募につながりやすいといったメリットがあります。
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必須スキルは最低限に
必要なスキルをすべて持った人を採用できれば理想的ですが、そのような人材は日本ではそもそも数が限られているため、全てを兼ね備えた候補者を探そうとした場合、採用が困難を極めるケースも少なくありません。また、必要スキルをすべて満たしていないと応募資格がないと考えてしまう候補者も多いため、絶対に必要となるスキルや経験のみを必須スキルとして書き、他のスキルや経験で補うことのできる部分に関しては「あれば理想的」といった書き方をすることで応募のハードルを下げ、「育成や教育の余地はあるがおおむね即戦力として活躍できる人」にまでリーチを広げることができます。
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昇進や昇給、キャリアアップの機会について触れる
DXのような領域で経験を持ちキャリアを築いている候補者は決して多くないため、そのような方々は “引く手あまた” であり、自身の市場価値を正しく把握しています。社内のDXやシステム運用に今後どのように携わっていくことができ、業績の評価や昇進などの機会はどのように与えられるのかなど、企業内での将来的にどのようなキャリアを築いていけるのか、マネージャー職へとステップアップできる機会はあるのかなど、入社後のキャリアパスのイメージがしやすいような説明を求人広告へ加えると効果的です。
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スキルアップのための研修や資格取得支援制度などがあれば言及する
ITやテクノロジー分野はただでさえ変化のめまぐるしい領域であり、新たな製品に関する知識やスキルを日々アップデートしていく必要があります。これらの習得に際し会社からサポートが得られるのかどうか、また資格取得が必要な場合に利用できる支援制度があるのかなど、個人のスキルアップに関して会社が提供できるものがあれば、積極的にアピールしましょう。
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テクニカルなスキルが必要な場合は、コントラクト人材ソリューション(業務委託やハイクラス派遣)の活用を視野に入れる
特定のソリューション導入や比較的規模の小さなDXプロジェクトを進めるために特定の期間ITチームが必要といった場合、上述のようにコンサルティングファームなどに外部委託する方法に加えて、業務委託やハイクラス派遣といったコントラクト人材ソリューションによって、より低コストで必要なスキルを持った人材を確保できる可能性があります。以下の記事もあわせてご覧ください。

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