
いわゆるIT企業やIT業界のみではなく、現在どの業界でもビジネスの成長の鍵を握るIT人材。不足していると言われて久しくなると同時に、今までよりも多くの役割が求められるなど、時代やニーズに合わせてスキルアップをしていくことが不可欠です。ご自身の理想のキャリアプランの実現のためには、転職を通じてさまざまな業種や異なる職種での経験を積んでいくこと近道の一つです。
ところで転職をする際に、採用面接で必ずと言っていいほど聞かれるのが、「転職の理由」です。前職になんらかの不満があっての転職だったとしても、その転職の理由を正直に答える必要はなく、メリットもあまりありません。では面接で転職理由を尋ねられた際には、どのように答えると良いのでしょうか?
今回は、エンジニアに多い転職理由を踏まえて、採用面接を有利に進めるために知っておきたい「転職理由の伝え方」をご紹介します。
エンジニアに多い転職の理由
エンジニアに多い転職の理由として、以下の5つが挙げられます。
転職理由その1:人間関係の悩み
プロジェクトはチームで推進していくものであり、上司や後輩、同期、その他チームメンバーなどとの情報共有が欠かせません。しかし「メンバーと考え方に相違がある」「問題が起こっても上司が協力的でない」「後輩の教育に手を取られすぎる」など、スムーズな意思疎通が図れない事態も起こりえます。
良好な人間関係を保てなければ仕事を効率的に進めることができず、いずれ仕事へのモチベーションが低下してしまいます。
転職理由その2:待遇・評価への不満
自身が持つ技術や成果に対して適切な評価がなされていない場合も、転職を考えるきっかけとなりえます。「仕事量に対して給与が少ない」「上司からの評価が低い」となると、自分をより評価してくれる企業を求めたくなるものです。
転職理由その3:労働時間が長い
IT業界やIT関連職種には、突発的な業務や、労働時間外に起こる思わぬトラブルが少なくありません。企業によっては、長時間労働や休日出勤が必要になることもあります。あってはならないことですが、もし休日出勤手当や残業代が支払われていないのであれば、なおさらモチベーションが下がることでしょう。
なによりも、仕事に時間を取られて休息やプライベートの時間を十分に確保できなければ、心身の健康を害するおそれもあります。
転職理由その4:仕事内容のミスマッチ
例えばエンジニア・プログラマーでありたいのに、開発チームのリーダーやプロジェクトマネージャーといったような管理者としての役割を求められることもあります。チャレンジしてみたい技術や、関わりたい業種・業界など、自身の希望と異なる仕事を続けている場合もまた、モチベーションの低下につながりがちです。
現在の仕事内容が自身の描くキャリアプランにつながらない場合には、転職も解決策のひとつとなります。
転職理由その5:自身のスキルや会社の将来性が不安
現在保有している技術がトレンドではなく、数年後に廃れていくようなことが予測されるのであれば、新たな技術を習得するために部署異動を願い出る方法も手です。しかし異動は会社の経営陣の意向に依るところが大きく、希望が叶わない場合もあります。
また会社の業績が不振であることや、情報漏えいなどの企業が社会的な信頼を失うような出来事の発生も、転職の大きな理由となりえます。
採用面接で「転職の理由」を聞かれるのはなぜ?

いざ転職を決意して採用面接に臨んだときには、面接官から転職の理由を問われるケースが一般的です。なぜなら転職理由は、応募者の仕事についての考え方や人間性が回答に出やすい質問だからです。
なぜ転職しようと思ったのか、転職を決意するまでにどういう仕事をしてきてどのように解決してきたのか、なぜ解決しなかったのか……。このように、面接官が応募者の転職理由を詳細に聞くことによって、自社が求める人材にマッチしているかどうかを判断することになります。
転職理由として「前職への不満」のみを伝えるのはNG
現在所属している会社や前職に対する“不満”は、基本的には転職の理由として挙げるべきではありません。
面接官としては、「採用した人が早期に離職しないこと」も採用の要件にしています。応募者から「上司が嫌な人だった」「給料が安かった」など不満だけを伝えられると、「この応募者は入社後に同じような不満を持ったら、また退職してしまうのでは」と面接官は不安に感じます。また、応募者が不満に対し適正に折り合いをつけられる人材なのかどうか、見極めることができないのです。
よほど伝えるべき事情があれば別ですが、基本的に転職の理由では、ネガティブな印象を面接官に抱かせないほうが良いでしょう。いかに有益な判断材料にしてもらえるかを重点的に考え、回答したいところです。
エンジニアの転職面接での「転職理由の伝え方」のポイント

採用面接の面接官は、応募者を評価する際に以下のような要素を見て判断基準としています。
・自社の方針やカルチャーにマッチしているか
・長く自社に在籍し、簡単に退職しないか
・現場が求めるスキルを持っているか
上記を踏まえ、ネガティブな転職理由をポジティブな表現にするためのポイントは2つあります。
伝え方のポイントその1:転職後の目標、働き方を盛り込む
1つめは、転職後の目標や働き方を自然に転職理由に盛り込むことです。未経験の職種を希望する場合にも、現状の自身の課題と今後の方向性を明確に伝えましょう。
伝え方のポイントその2:現在の状況では叶わないことを強調する
2つめは、「転職をしないと解決できない事情がある」と強調することです。転職する人は、転職を考える前に上司と話し合ったり、なんらかの改善策を提案したりしたのではないでしょうか。「前職でも前向きに対処したものの叶わなかった」というように、最大限の努力をしたと伝えることで、課題解決力のアピールにつなげることができます。
エンジニアの転職面接に使える「転職理由の伝え方」の具体例
最後に、転職理由をポジティブに言い換える例をご紹介します。
例1:人間関係や労働時間に不満があった場合
「前職ではプロジェクトの承認プロセスに多くの人の手が入るために、意思決定のスピード感が落ちる場面が何度もありました。そのたびに技術者の手が止まり、技術者が残業や休日出勤をせざるを得ないケースもあるのが気になっています。御社のように意思決定が早い企業で、多くのプロジェクトを経験したいと考え、転職に至りました。」
この例では人間関係や労働時間への不満だけではなく、その結果起こった「なかなか業務が進まないこと」に着目しています。
例2:保有技術の将来性に不安がある場合
「私は今まで××という技術で業務を行ってきました。私としては××の市場はいずれ縮小していくと考えています。今は○○という技術に興味があり、技術フォーラムやイベントにも参加しています。ただ現在の会社では○○の活用を提案しましたが、採用されることはありませんでした。そこで○○に挑戦できる環境を求めて、転職することといたしました。××を通して得た知見を活かして、新たな事業を開拓できると考えています。」
この例では新しい技術への取り組みと、前職では叶わなかったことを主な転職理由としています。
例3:企業の将来性に不満がある場合
「現在所属している会社ではお客様と良い関係を築いています。既存のお客様ももちろん大事なのですが、より多くのお客様と関わりたいという希望があります。さまざまな企業とお取引をしている御社のようなグローバル企業で、自身のスキルアップをしつつ広く業界に貢献していきたいと考えたことが、転職活動をしている理由です。」
現在の会社への不満にフォーカスするよりも、応募先の特徴に合わせて述べています。このような書き方にすると、応募先企業を研究した結果を活かせます。
例4:待遇に不満がある場合
「現在の会社での評価を受けて自分のスキルを改めて見つめ直したところ、御社の○○や××の業務で活かせるのではないかと考えました。現在の会社では、社内の体制上の理由から○○や××に携わることは難しいと言われています。尊敬できる上司のもとで一層の成長と会社への貢献をしたいと考え、転職を決意いたしました。」
待遇は自身のスキルへの評価でもあります。この例では待遇面について言及しすぎず、スキルを活かすための転職であることを強調しています。
まとめ
面接で有効活用するための、転職理由の伝え方をご紹介しました。
エンジニアは自分のスキル次第で、さまざまなキャリアプランを立てられる職種です。転職理由を面接官にネガティブに受け止められることのないよう、自分の人となりをアピールできる表現を考えてみてください。
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